「金融の本来の役割を広げる」ーーネクストシフトファンド伊藤社長インタビュー

「金融の本来の役割を広げる」ーーネクストシフトファンド伊藤社長インタビュー

鳥取に拠点を構え、主に国内でベンチャーキャピタル事業やインキュベーションオフィス事業などを展開しているネクストシフト株式会社。

同社は社会的インパクト投資をコンセプトにした新しいソーシャルレンディングサービスの「ネクストシフトファンド(Nextshift Fund)」を、2018年3月にリリースしました。

今回はサービス内容や今後の展開について、ネクストシフト株式会社の伊藤社長にインタビューしました。

「金融を次にシフトさせたい」ーーーネクストシフトに込めた想い

「金融の本来の役割を広げる」ーーネクストシフトファンド伊藤社長インタビュー

ーーまずは伊藤社長のこれまでの経歴を教えてください。
新規事業の立ち上げを含め、これまでに様々な金融事業に携わってきました。

まず大学を卒業した後は、三菱銀行にて為替ヘッジや企業への融資業務に従事しました。1998年にはソフトバンクへ入社し、財務部で主に資金調達の仕事を行なっていました。

その後、インターネットの波とともに立ち上がったSBIホールディングスでは常務取締役を、ヤフー子会社のワイジェイFXでは代表取締役を務め、インターネット×金融の勢いを肌で感じることができました。

ーーなぜネクストシフトファンドを開始されたのでしょうか。
金融のより良い発展に寄与したいと考えたためです。

ネクストシフトという言葉には、金融が次にシフトするという意味を込めています。金融が次にシフトするというと、一般的には利便性の部分が思い浮かぶと思います。

FinTechという言葉が認知されているように、テクノロジーを用いれば、金融の使い勝手をより良くし、今までよりも多くの方にアプローチできるようになります。これも大事で、意識しています。

しかし、ネクストシフトとしては、より社会性の部分を重視しています。つまり、お金儲けだけではない、社会課題の解決に結びつくような金融というのが次の金融です。
時として金融は、お金のために強欲になってしまうというネガティブな面に注目が集まることもあります。

ただ、金融の本来の役割は、社会を発展させたり、人を幸せにすることです。ネクストシフトが取り組む社会的インパクト投資は、まさに社会に役立つ金融事業です。

ネクストシフトファンドを通じて、「社会のためになる金融」を広げたいと思います。

日本の課題が先行している鳥取で事業を行なうことは価値がある

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ーーなぜネクストシフトを鳥取で立ち上げられたのでしょうか。
鳥取が私の出身地であり、地元に貢献したいという想いもそうですが、鳥取が社会課題の先進県という点も大きな理由です。

鳥取は日本でもっとも人口が少なく、高齢化など、これから直面する日本の課題が先行して起こるでしょう。だからこそ、社会的インパクト投資事業を展開する価値があると考え、鳥取を拠点にすることを決めました。

ーー鳥取銀行などから資金調達もされていますね。
鳥取銀行様をはじめとして、個人投資家の方々も含んだ複数の企業・個人に株主になっていただいています。

弊社の事業は国内外がターゲットとなっていますが、それを地元鳥取でやること自体が地方創生になります。

例えば上場したり、業界の中で注目される企業になっていけば、当然雇用を増やすことができますし、何より地方のベンチャー企業でもグローバルな事業ができるんだということを示せるはずです。

どの株主様についても、こうした社会的価値に着目し、出資いただいていると思っています。

個人が社会的インパクト投資に関われる機会を増やす

「金融の本来の役割を広げる」ーーネクストシフトファンド伊藤社長インタビュー
ーーネクストシフトファンドがどういったサービスなのかを教えてください。

ネクストシフトファンドは社会的インパクト投資がコンセプトのソーシャルレンディングサービスです。

社会的インパクト投資とは、経済的利益と社会的課題の解決を両立させる投資のことです。欧米ではすでに、機関投資家や財団などが中心となって活発的な投資が行なわれており、日本でも徐々に注目されてきています。

ただ、これまで個人が社会的インパクト投資に関われる機会は多くありませんでした。それをネクストシフトファンドによって実現しています。

ーー具体的にはどのような案件に投資できるのでしょうか。
第1号ファンドは、カンボジアのマイクロファイナンス機関に貸付をするファンドです。

マイクロファイナンスの取り組みとしては、バングラデシュのグラミン銀行が有名です。以前は珍しいと考えられていましたが、今では世界中にマイクロファイナンス機関が存在しています。
実際にカンボジアにはマイクロファイナンス機関が300近くあると言われています。

弊社はカンボジアにオフィスを構えており、現地の資金需要者にアプローチしやすい環境にあります。このような背景から、第1号案件はカンボジアのマイクロファイナンスに取り組むことになりました。

またマイクロファイナンスといっても、個人のみが対象ではありません。農家や中小企業などを対象とする機関にも貸付をします。

マイクロファイナンスにおける与信の考え方

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ーー第1号案件は担保・保証なしですが、保全策は用意されているのでしょうか。
与信リスクが高くなければ、必ずしも担保・保証は必要ではないと考えています。

ネクストシフトファンドの貸付対象は、大前提としてカンボジア中央銀行に認可を受け、登録されているマイクロファイナンス機関のみとすることで、与信リスクを抑えるようにしています。

また当局に登録されているということは、監査法人による監査を受けているという前提があります。マイクロファイナンス機関の不良債権比率やポートフォリオなどの財務状況はカンボジア中央銀行のWebサイトで開示されています。

この公開されているデータに加えて、個別に財務諸表も取り寄せて審査をしており、一定の与信基準をクリアしたマイクロファイナンス機関に貸付を行なっているため、担保・保証なしという形を取っています。

ーーマイクロファイナンス機関から融資を受けている方々には、担保が設定されている場合もあるのですか。
はい。カンボジアでは不動産担保が多く活用されています。

従来はグラミン銀行モデルとも呼ばれる無担保のグループ融資(5人組の連帯保証制度)が一般的でしたが、カンボジアでは農家も含めて土地を持っている方が多く、個人向けの不動産担保融資がよく見られるようになりました。

例えば、同国最大のマイクロファイナンス機関のプラサックは、無担保のグループ融資が全体の融資残高のうち0.15%程度しか占めていません。※1

マイクロファイナンス機関ごとによって差はありますが、不動産価値の5割を借入限度額とするのが主流です。

不動産はカンボジアの国土管理都市計画建設省(※2)が管轄し、不動産に関する権利書の発行・管理をしています。

また、農業従事者の場合は、トラクターなどが担保に設定されることもあります。
弊社の貸付先マイクロファイナンス機関は一部の小口融資を除き、そのほとんどが不動産担保、あるいは動産担保の融資をしており、これまで貸倒れの実績はありません。

ーーマイクロファイナンス機関は借り手に高金利で融資しており、その分リスクが高いということはないのでしょうか。
新興国は高金利で融資されているというイメージがあるかもしれませんが、カンボジアの上限貸出金利はそもそも18%と決まっています。※3(2017年4月から施行)

許認可を受けていない機関は法外な金利で融資をしていますが、ネクストシフトファンドでは法令に遵守したマイクロファイナンス機関へ貸付をします。

ーー融資先の審査で重視する点を教えてください。
ひとえにマイクロファイナンスといっても、社会的なインパクトにつながるものと、単純な消費性のローンのものがあると考えています。

ネクストシフトファンドの場合は、どれほど社会的インパクトがあるのかという点が1つの条件です。

具体的にはこれまで金融サービスにアクセスがなかった現地の中小企業や、農家に融資をしている点、また融資後の借り手向けのトレーニングといった支援にも着目しています。


また前提として、不良債権比率や財務の健全性も判断基準となります。

ーー融資先のモニタリングはどのように実施しているのでしょうか。
途上国に向けての融資であるため、モニタリングに際してはカントリーリスクなどさまざまなリスクを考慮しなければなりません。

例えばカントリーリスクは政変や内乱の発生などが考えられます。

こうしたリスクが顕在化する前に弊社が発見できるよう、カンボジアに社員が常勤しており、融資先のモニタリングや現地のカントリーリスクを細かく敏感に把握できるようにしています。
またファンドの貸付先マイクロファイナンス機関に対しては、財務諸表に加え、定期的な面談を重ねていきます。

今後はカンボジア以外の投資先も提供していく

ーー今後掲載していく案件について教えてください。
まずはカンボジアのマイクロファイナンス案件を継続的に募集していきたいと思っています。また利回り水準は5%を目標値としています。

案件の種類については、カンボジア国内の貸付先のさらなる拡充に加え、周辺の国・地域にも投資先を分散できる状況を構築しています。

具体的にはまだ公表できませんが、いくつかの国・地域はすでに調査しており、テスト的に直接融資も実施しています。

ーー担保や為替ヘッジ付きの案件も今後出てくるのでしょうか。
財務情報を正しく開示して頂き、かつ弊社の審査基準を満たしている限り、マイクロファイナンス機関向けの貸付においては、担保なしのファンドが多くなるかと思います。
為替ヘッジは今後検討していきます。

ーー最後に投資家の方々にメッセージをお願いします。
社会的インパクト投資は投資リターンと社会貢献性を追求する新しい投資です。投資家の皆さんはお財布だけでなく心も暖かくなっていただきたいです。

この社会的インパクト投資が成長していくように、我々も良い投資商品を提供できるよう努力していきますので、ぜひこのコンセプトに共感していただき、一緒に参加するようなイメージで投資していただけたら嬉しいです。

「金融の本来の役割を広げる」ーーネクストシフトファンド伊藤社長インタビュー


※1:プラサック、2016年度レポートより。小数点第3位以下切捨。
※2:英語表記、Ministry of Land Management, Urban Planning and Construction
※3:カンボジア中央銀行の省令B7-017-109PK号

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