市場規模が大きく資金ニーズが高いことから、日本のソーシャルレンディング業界には不動産を取り扱っている事業者が多く存在しています。投資をする上で選択肢が多いことは良いものの、選択肢が多いとどの事業者でに投資すればよいのか悩んでしまう方も多いのではないでしょうか。

今回は、不動産案件に投資する際の判断材料となるよう、各事業者の特徴や違いを分析します。

事業者の比較

最初に、事業者の比較表を紹介します。

事業者の分類

事業者が多いため、以下のように分類しています。

  1. 不動産特化の事業者
  2. 不動産に特化している事業者

  3. 主に不動産を取り扱っている事業者
  4. 主に不動産を取り扱っていながら、他の業種の案件も取り扱っている事業者

  5. 不動産を取り扱っている業者
  6. 不動産を含めて、様々な業種の案件を取り扱っている事業者

ソーシャルレンディング事業者の比較表

不動産特化の業者
業者名 サービス開始日 利回り 最低投資額
アメリカンファンディング 2016年7月 8~10% 2万円~
LCレンディング 2015年7月 4.5~10% 2万円~
Owersbook 2014年9月 4.5~5% 1万円~
ガイアファンディング 2015年10月 8~10% 3万円~
クラウドリアルティ 2016年12月 9% 5万円~
TATERU FUNDING 2016年6月 5% 10万円~
Lucky Bank 2014年12月 7~10% 6万円~
主に不動産を取り扱っている業者
業者名 サービス開始日 利回り 最低投資額
APPLE BANK 2017年4月 8~10% 2万円~
キャッシュフローファイナンス 2017年2月 7~10% 2万円~
さくらソーシャルレンディング 2016年12月 6.5~11% 2万円~
トラストレンディング 2015年11月 7~10% 10万円~
maneo 2008年10月 4.8~10% 2万円~
不動産を取り扱っている業者
業者名 サービス開始日 利回り 最低投資額
Crowd Bank 2013年12月 4.8~6.9% 1万円~
SBISL 2011年3月 2.8~7% 1万円~

※利回り、最低投資額は直近の主な案件のデータです。

以降、各事業者を紹介していきます。

不動産特化のソーシャルレンディング事業者

アメリカンファンディング

maneoマーケット株式会社と提携しています(以降、提携している業者を「maneoファミリー」と記載します)。
名前の通り、アメリカの不動産に特化した業者です。全ての案件にアメリカの不動産担保がついています。Loan to Value(貸付比率)は、アメリカンファンディングの不動産評価額の80%以下に抑えられていますので、20%の下落までは元本割れが起こりません。

2万円と少額から投資が可能で、アメリカの不動産に投資したい人には好まれやすい事業者となっています。
アメリカの不動産案件ということから為替リスクが気になるかもしれませんが、ソーシャルレンディング事業者が為替ヘッジを行っているため、投資家が為替リスクを気にする必要はありません。

LCレンディング

maneoファミリーです。
基本はグループ企業(LCホールディングス、LCレンディング、LCパートナーズ)の不動産投資に対する案件です。LCホールディングスは東証JASDAQ上場企業で、決算書が公開されているため、事業者の財務情報を把握することができます。

上場企業(LCホールディングス)の保証付き案件もあります。LCホールディングスの保証付き案件では、融資先が返済できなくなった場合、LCホールディングスが元本と利息を保証してくれます。
案件の中身はビジネスホテルや商業施設の取り扱いが多く、開発資金なども取り扱っています。また、3ヵ月と短期間の案件も随時投資募集をしています。

Ownersbook(オーナーズブック)

都内を中心とした不動産を扱っています。
Ownersbookを運営するロードスターキャピタル株式会社は、財務情報を公開しています。
他の事業者と比較すると利回りは低い(直近の案件は4.5%~5.0%)ものの、不動産投資のプロが選定し安全性の高い案件を提供しています。
さらに、早期に売却できた場合は、+αのリターンが分配されることもあります。案件一覧から過去の実績を確認できますが、中には14.5%の利回りとなった案件もあります。

ガイアファンディング

maneoファミリーです。
アメリカンファンディング同様に、アメリカの不動産に特化した業者です。全ての案件にアメリカの不動産担保がついています。為替リスクは業者が為替ヘッジを行っているため、投資家が為替変動を気にする必要はありません。

アメリカンファンディングとの違いは、資金調達の目的が異なることです。

ガイアファンディングの方が1案件の募集額が大きいため、アメリカンファンディングよりも最低投資額はやや高め(最低投資額3万円の案件が多い)です。
また、それぞれで扱う物件の所在地(地域)が違う案件もありますので、物件の所在地を見ながらアメリカンファンディングとガイアファンディングを選ぶこともできます。

クラウドリアルティ

国内と国外の不動産に特化しています。
はじめに資金募集をしたエストニア不動産担保ローンでは為替ヘッジは行われていませんでした。
為替ヘッジがないと円高のリスクを考える必要がありますが、円安になったときに為替差益を得られるチャンスでもあるため、円安を見込んでいる方には為替ヘッジなしの案件をあえて選ぶ、という選択肢もあります。

TATERU FUNDING(タテルファンディング)

運営元は「東証1部上場」のインベスターズクラウドということで、業者としての信用度は高いと言えるのではないでしょうか。
賃貸利益の金額を基準に出資金が評価されているため、市場時価の変動の影響が小さい、という特徴があります。

投資家が優先出資者となり、インベスターズクラウド社が劣後出資で払い込む形式となっています。
簡単に説明すると、優先出資:劣後出資 = 70:30の場合、30%の下落まではインベスターズクラウド社が負担し、30%を超えた部分を投資家が負担する、ということです。この場合、30%以内の下落であれば、投資家の元本が毀損することはありません。

他のソーシャルレンディング事業者の場合、運営元は貸出先に対して貸し倒れリスクを負わない仕組みになっていますが、TATERU FUNDINGでは運営元もリスクを負う(運営元が最もリスクを負う)仕組みとなっています。

また、他のソーシャルレンディング業者は途中解約ができませんが、TATERU FUNDINGでは、途中解約が可能です。TATERU FUNDINGへ出資金の返還を申請したり、投資家自身で第三者へ譲渡することができます。解約時の手数料、違約金などはかかりません。
ソーシャルレンディングは流動性リスクがありますが、TATERU FUNDINGでは流動性リスクを軽減することができます。

Lucky Bank(ラッキーバンク)

高利回り案件が魅力で、利回り10%以上の案件も提供しています。全案件に不動産担保を設定しています。主に不動産のリノベーションを実施して再販する案件を扱っています。
投資可能額が6万円以上の案件が多く、他の業者と比較すると少額での投資には向きません。

サービス開始日が2014年12月とソーシャルレンディング業者の中では早い時期にスタートしており、成立ローン総額が89億円を突破しているという実績もあり、最近は募集開始すると数分で満額成立することが多く、人気のある業者の一つです。

サービス開始当初から出金手数料が無料となっており、分配後に再投資することもでき、気軽に出金もできます。
田中翔平代表は、1990年生まれで、ソーシャルレンディング業界では最年少の代表、ということも特徴の一つです。

主に不動産を取り扱っている業者

APPLE BANK(アップルバンク)

maneoファミリーです。
不動産開発事業や、不動産以外の業種でも不動産担保付の案件を提供しています。

不動産案件とは異なるものの、給料前払いシステム事業の案件を扱っていることが特徴の一つです。
給料前払いシステムとは、働いた分を給料支給日よりも前に支給するシステムです。すぐにお金が必要な方に、日払いや週払いができるようになります。

2017年4月末現在までは給料前払いシステムの案件も含めて、全案件に不動産担保を付けています。

キャッシュフローファイナンス

maneoファミリーです。
不動産販売案件ではなく、不動産をメインにキャッシュフローが見込める(安定した収支を見込むことができる)案件を提供しています。キャッシュフローファイナンスの子会社の不動産案件が中心となっています。
コインランドリーファンドという他にはない案件も取り扱っている他、36か月と長期の案件も扱っています。

さくらソーシャルレンディング

maneoファミリーです。
地方企業への融資で地方創生を掲げている通り、都市部ではなく北海道から中部、近畿、九州と地方の案件を扱っています。
不動産案件以外では、自然エネルギー事業の案件も取り扱っています。

トラストレンディング

運営元の株式会社トラストファイナンスはソーシャルレンディングを始める前(2005年)から貸金業を行っており、貸金業としての長年の経験があります。主に不動産担保案件を提供していますが、債権や流動資産を担保とする案件も提供しています。

最低投資額が10万円となっているため、他の事業者と比較すると少額での投資には向きません。
トラストレンディングは預託金制度を設けていないため、分配金は銀行口座に直接振り込まれます。

maneo(マネオ)

日本で最初にソーシャルレンディングを開始し、成立ローン総額(700億円超)、完済実績(500億超)は業界トップです。

不動産購入案件から、事業性ローン案件と幅広く扱っています。殆どの案件に不動産担保がついています。常時複数の案件募集が行われているため、運用先には困りません。

maneoファミリーの案件も扱っているため、maneoを介すと利回りは若干(1%程度)低下しますが、複数業者を使うことが面倒だと感じる方は、maneoからmaneoファミリーの案件に投資することも一つの手段です。

不動産を取り扱っている業者

Crowd Bank(クラウドバンク)

※行政処分中(業務改善命令)(2017年6月9日時点)

証券会社などが必要とされる第一種金融商品取引業を取得しており、自己資本規制比率による規制など、第二種金融商品取引業よりも厳しい法規制がかけられているため、事業者リスクは低いです。

不動産案件では、主に不動産開発プロジェクトを扱っています。大手銀行の融資内定済の不動産案件や、上場企業のM&A資金調達の案件など、他の業者にはない案件も揃えています。

出金手数料が無料のため、気軽に入出金ができます。

SBIソーシャルレンディング

SBI証券や、住信SBIネット銀行などで多くの方が知っているSBIグループです。常

時募集している不動産担保ローン事業者ファンドをはじめ、オーダーメード型ローンとして不動産バイヤーズローン(不動産売買の取得資金)、不動産ディベロッパーズローン(不動産開発資金)などを扱っています。
不動産以外の事業性ローンも扱っています。出金手数料が無料のため、気軽に入出金ができます。

以上、不動産案件を投資対象とするソーシャルレンディング事業者の一覧でした。不動産といえども様々な切り口があるため、ご自分にあったファンド、事業者を見つけられると良いですね。

執筆者紹介

サム

仙台在住の個人投資家。自身が運営する 「ソーシャルレンディング研究誌」では、ソーシャルレンディング業界の話題に独自の視点から深く切り込んでいる。