ソーシャルレンディング運営会社のLCレンディングを傘下に持つLCホールディングス(ジャスダック8938)の2017年3月期決算が発表されました。

ネット証券大手のSBIグループのSBIソーシャルレンディングとともに、ソーシャルレンディング業界で上場企業グループに属しているLCレンディング。今回はそんなLCレンディングを傘下に持つLCホールディングスの2017年3月期決算の分析を行ってみました。

LCホールディングス株式会社とは

ソーシャルレンディング業界においては中堅に位置するLCレンディングは、ジャスダック市場への上場会社であるLCホールディングス株式会社(コード8938)傘下の企業です。

LCホールディングスは、東京多摩地区及び埼玉県南部に地盤を有する不動産会社の株式会社ロジコム、不動産ファンド事業の株式会社LCパートナーズ、ソーシャルレンディング事業の株式会社LCレンディングの主要3社から構成。現在、不動産ファンド事業に注力をしています。

事業の中核となる会社であるロジコムは、2005年に大阪証券取引所ヘラクレス市場(現、東証ジャスダック市場)に上場。その後、昨年2016年10月に持株会社体制に移行し、LCホールディングスを上場持株会社として現在に至っています。

LCホールディングスの業績推移

2016年10月よりロジコムからLCホールディングスに持株会社化された、同社グループの業績は下記のように推移しています。

売上高 経常利益 当期純利益
2015/3期  6,486百万円 33百万円 321百万円
2016/3期 6,885百万円 ▲360百万円 1,214百万円
2017/3期 6,946百万円 590百万円 ▲284百万円
2018/3期(予想) 18,000百万円 1,500百万円 1,000百万円

※17/3期が持株会社化後の初決算

地方の不動産会社としては中堅規模のロジコムを傘下に持つLCホールディングスですが、17/3期は経常利益は黒字の一方、当期純利益は赤字となっています。(詳細は後述)

また16/3期は営業利益では2.1億円の黒字を計上していたものの、支払利息5.7億円及び資金調達費用1.9億円等の営業外費用8.4億円の計上により、経常利益は3.6億円の赤字。しかしながら固定資産売却益11.6億円、収用補償金13.7億円等で特別利益25.9億円の計上がなされており、当期純利益では12.1億円の黒字となっています。

2017年3月期の最終赤字の要因

LCホールディングスの17/3期決算は売上高69億円、経常利益5.9億円、当期純利益▲2.8億円と、16/3期に赤字だった経常利益はが大幅に黒字化。同社が3年前より進めている不動産ファンド事業が徐々に成果として数字に現れつつあります。ただし経常利益は黒字にもかかわらず、最終的な当期純利益は赤字となっています。

当期純利益が赤字となった要因は、解約金2.9億円、関係会社株式売却損3.3億円を中心に特別損失を5.4億円計上しているためです。

関係会社株式売却損は16年7月に連結子会社のロジコムリアルエステート株式会社の売却を行い、3.3億円の特別損失発生を公表しています。

特別損益のみを反映した税前利益は0.6億円と何とか黒字は維持されていますが、その後に不動産ファンド事業に絡み、匿名組合損益分配額を2.8億円計上。更に法人税等を1.3億円計上の結果、非支配株主に帰属する損益(0.6億円)を取り込んでも、当期純利益では2.8億円の最終赤字となっています。

不動産ファンド事業に注力しているため、一見すると複雑な決算となっていますが、下記で簡単に表現してみました。

  • 銀行への利払い後の経常利益は5.9億円の黒字
  • 解約金と子会社の売却損等を計上(5.4億円)すると0.6億円の黒字で収支トントン
  • 不動産ファンド等の他者持分の損益(2.8億円)を差引すると2.1億円の赤字
  • 法人税等(1.3億円)を計上すると当期純利益は3.5億円の赤字
  • 非支配株主に帰属する損益(0.6億円)を取り込むと最終的な当期利益は2.8億円の赤字

やはり解約金2億円、関係会社株式売却損3.3億円等の5.4億円の特別損失の発生が大きく、同損失がなければ当期純利益ベースでも問題なく黒字の確保が可能な状態です。

2018年3月期の予想数字

LCホールディングスの18/3期予想数字は、売上高180億円、経常利益15億円、当期純利益10億円となっています。16/3期、17/3期は特別損益が損益状況に大きく影響を与えたものの、18/3期は特別損益等で大きな変動は起こらない計画となっています。

ただし最終赤字となった17/3期は、当初計画が売上高70億円、経常利益▲4億円、当期純利益5億円とされていたため、18/3期が予想通りの計画で着地するか否かについては、事業進捗の推移を見守る必要があります。

なお18/3期が持株会社後の初の通期決算となり、不動産ファンド事業の売上・利益が数字に反映されるため、大幅な増収増益の計画です。

LCホールディングスの17/3期の財務状況

不動産会社及びファンド運営会社には、有利子負債が多い等が理由で財務状況が悪化している会社も中にはあるため、LCホールディングスの17/3期財務状況を貸借対照表(B/S)から見てみます。

17/3期の純資産は48億円に対し、負債合計233億円となっており、自己資本比率約17%。業種柄、自己資本比率は低めですが、17/3期に急激に有利子負債が増加している等の状況ではないため、それほど問題は生じていません。

17/3期の貸借対照表(B/S)は16/3期比で資産合計約+7億円であり、それほど資産の絶対量の増減はありません。ただし建物及び構築物16/3期107億円→17/3期62億円(差引▲45億円)、土地16/3期78億円→17/3期19億円(同▲60億円)の差引合計約105億円を販売用不動産に移し変えています。(販売用不動産16/3期0→17/3期106億円)

開発中の土地及び建物が販売可能な状況となったことによる勘定科目の変更と考えられますが、販売用不動産に計上された106億円が順調に売却されるかどうかが、今後の同社の命運を握っていると言っても過言ではありません。

LCレンディング社についての記載

LCホールディングスの17/3期決算短信にはLCレンディング(以下、LCL)に関する記述もあります。

・LCL社において、クラウドファンディングの仕組みを用いて、個人投資家等から広く投資を募り(募集は免許の関係で別会社が行っております)、その資金を、当社グループが手掛ける不動産ファンドに対してメザニンローンとして融資しております。

・同社は、平成29年3月末時点の成立ローン累計額は70億円、登録人数は1,900名を突破し、順調に伸張しております。 当期以降は、当社グループが手掛けるJ-REIT又はその他不動産ファンドに組み入れる物件の取得を、安定的かつ継続的に実行可能な環境を整備していくことが非常に重要であると考えております。
上記のようにLCレンディングはLCホールディングスグループ内において、外部から資金調達を行い、尚且つ調達資金を自社グループの不動産ファンドに対し融資する役割を担っており、LCホールディングスが注力する不動産ファンド事業において、重要な立場に位置しています。

LCホールディングスの株価について

東証ジャスダック市場に上場のLCホールディングスの株価は、2015年半ばより大きく動いています。2015年初頭には400円近辺であった株価が8月頃には1,000円を超える株価を達成。その後一旦株価は600円台にまで下落したものの、2016年に入って今度は1405円の高値を付ける程に株価は上昇。そしてその後は900~1,000円付近で落ち着きを見せています。

2017年5月に入ると、株価は再度急上昇し、1,300円台後半に到達。2016年2月の前回高値1,405円の高値更新を目指すような株価状況となっています。

まとめ

ソーシャルレンディング専業の上場会社は日本には存在していないため、ソーシャルレンディング運営会社を傘下に有する上場会社グループ・LCホールディングスを取り上げ、決算の分析を行いました。

LCホールディングスはジャスダックの上場会社であり、なおかつ不動産ファンド事業に注力していることもあり、業績的には安定しきれない面も有していますが、当期の18/3期には経常利益・当期純利益も黒字化の予定となっています。またソーシャルレンディング運営会社のLCレンディングは、不動産ファンド事業の展開において重要な位置付けがなされています。

ソーシャルレンディング投資の際は、案件のみならずソーシャルレンディング運営会社の調査も必要不可欠となります。LCレンディングの案件への投資検討のため、LCホールディングスの財務状況を調べる際の参考になれば幸いです。

執筆者紹介

SocialNote

ブログ「ソーシャルレンディングの投資ノート」の管理人。個人事業主の傍ら、株・REIT・FX・先物等、これまで様々な投資を手がけてきた個人投資家。ソーシャルレンディング投資の面白さと将来性に着目し、ブログを開設しソーシャルレンディングについて分析やコラム等を執筆している。一般的なファンド運営業務も実務を通じ知っていることから、ファンド運営側と投資する側の、両方の視点でソーシャルレンディング業界を見守っている。