こんにちは。中田健介です。
ソーシャルレンディング投資において起こってほしくない事態として、デフォルト(貸し倒れ)の他に返済遅延があります。

今回はその返済遅延とはどういった事態でなぜ起こるのか、また、過去どの程度発生しており、実際に起こるとどうなのか解説いたします。

返済遅延とは

ソーシャルレンディングのファンドは、基本的に募集時点で返済期間が決まっています。返済遅延とは文字通り、決められた期間が過ぎても借り手から資金が返済がされないことです。

ちなみに、事業者によっては「延滞」「期間延長」とも呼んでいますが、意味は返済遅延と同様です。

返済遅延はどのくらい発生しているのか

私の把握している限り、これまで返済遅延が発生したことのあるサービスはクラウドバンク、クラウドクレジット、SBIソーシャルレンディング、maneo、AQUSHの5つです。

このうちクラウドバンクでは、私の知る限りこれまで25ファンド・貸出残高5.5億円について返済遅延が発生しましたが、いずれも完済されています(※)
また、maneoでは2017年4月に3ファンド・貸出残高4534万円について返済遅延が発生したことがあります。ただし、貸出金額に対する返済遅延発生率は0.1%未満(※)です。
(※いずれも2017年4月時点)

返済遅延はなぜ起こる?

返済遅延が発生するのは、主に借り手が収益の悪化や事業計画の遅延などのために資金を予定通り返済できないためです。
中には借り手が返済日を忘れていたり勘違いしていたりといったケースもあるようです。

また、クラウドバンクでは2015年8月から9月にかけて返済期間延長がいくつか発生しましたが、これは、クラウドバンクが同時期に行政処分を受けていたために新たなファンドの募集ができず、借り手が借り換えを行えなかったことによるものでした。

投資したファンドで返済遅延が起きるとどうなる

返済遅延発生後の展開は大きく3パターンに分かれます。

パターン1:期限より遅れるが最終的には返済される

当初の期限よりは遅れるものの、数か月後には元本・金利とも返済されるパターンです。

例えば、2015年1月に募集されたクラウドバンクの「不動産担保型ローンファンド第55号」は、当初の運用期間が6ヶ月であったのに対し、その後5か月間の返済遅延となり、最終的には全額返済されました。

パターン2:デフォルトになる

返済遅延が続いた後に、結局デフォルト(貸し倒れ)となってしまうパターンです。投資家としては最も避けたいケースです。

パターン3:返済遅延が続き、不良債権化する

返済遅延の発生後、完済にもデフォルトにもならず、いつまでもその状態が続くパターンです。

例えば、SBIソーシャルレンディングで2011年に募集された「SBISLフリーローンファンド3年 2011年5月第1号」は、当初の運用期間は3年間でしたが、2017年5月現在、その一部がまだ「延滞中」のステータスのままです。

実に6年間も返済遅延が続いていることになります。これだけ返済遅延が続いているにも関わらず、まだ「デフォルト」の状態にはなっていません。

デフォルトを確定させる基準が明確になっていないサービス事業者もあるため、そうした事業者ではこのようにいつまでも返済遅延の状態が続くこともありえます。

投資家としてはいつまでも宙ぶらりんの状態が続くため、これも起こってほしくないケースでしょう。

返済遅延期間中の返済はされるのか

返済遅延の期間にも、当然金利は発生します。

返済遅延期間中にも金利だけは定期的に返済されるケースもありますが、金利・元本とも全く返済されないケースもあります。

また、返済遅延中、ソーシャルレンディング事業者によってはペナルティとしてその日数に応じて「遅延損害金」を徴収するところもあります。借り手は遅延損害金も含めて返済する必要があります。例えばmaneoでは年率14%程度の遅延損害金を徴収しています。

徴収された遅延損害金は投資家に支払われます。この場合予定よりも若干多くの金利が得られることになりますが、返済遅延自体はもちろん喜ばしいことではありません。

返済遅延による影響

返済遅延が起きると、投資家にはどのような影響があるでしょうか。

まず、予定していた期日に資金が返済されないことにより、その資金をその後別の用途に使用しようとしていた場合、計画に支障を来す可能性があります。例えば、返済された資金を教育や旅行などに充てようと予定していた場合、その計画が狂ってしまうことになります。

また、資金が予定よりも長く拘束されてしまうことになり、利回りの低下につながる可能性もあります。さらに、より条件のよいファンドへの再投資ができなくなり、機会損失が生じることもあり得ます。

返済遅延を避ける・影響を抑えるには

投資家にとって様々な影響のある返済遅延ですが、これを避ける、あるいはせめて影響を抑えるにはどのような対策があるのでしょうか。

担保や保証付きの案件を選ぶ

不動産や有価証券などの担保や第三者による保証がある場合、返済遅延が生じてもサービス事業者がそれらの担保権を行使することで資金の回収が図れるため、資金が返ってくる可能性は高まります。

投資対象を分散する

一つのファンド・借り手に全額を投資するのは避け、複数のファンドおよび借り手に資金を分散させることで、万一返済遅延が発生した場合でも、その影響を抑えることができます。

余裕資金で運用する

何といっても、投資は当面使う予定のない余裕資金で行いましょう。
もしも予定通り資金が返ってこなかった場合でもすぐに生活に支障を来すことが無いようにしましょう。

まとめ

返済遅延は投資家としては起きてほしくない事態ですが、やはりソーシャルレンディングを通じて資金を貸し出している以上、完全に避けては通れないことでもあります。

発生時の影響や対策について理解し、もしそうした事態に遭遇しても慌てることのないようにしましょう。

執筆者紹介

中田 健介

サラリーマン投資家・投資ブロガー IT系企業に勤務する傍ら、2010年からソーシャルレンディングでの資産運用を開始し、現在まで継続して年平均7%以上の利益を上げる。 「低金利時代の投資家にとって、ソーシャルレンディングは最も優れたインカムゲイン投資である」と強く感じ、その魅力を広く伝えるべく日本初の融資型クラウドファンディング専門ブログ「けにごろうのはじめてのソーシャルレンディング日記」を開設し、自分の運用実績、各社のサービス内容比較、業界の最新トピックなどを毎週2回(水・土)発信している。その内容は業界関係者からも注目を集め、これまで日本経済新聞・日経ヴェリタスをはじめとする多数のメディアで紹介されている。 2015年には著書「年利7%! 今こそ『金利』で資産を殖やしなさい!~日本初! 融資型クラウドファンディング投資の解説書」(ぱる出版)を出版。