「ソーシャルレンディング研究誌」というブログを運営しているサムと申します。本稿からクラウドポートニュースにて記事を寄稿することとなりました。何卒よろしくお願いします。

私は2010年10月にソーシャルレンディング投資を始めました。最近※1では比較的多くの方にソーシャルレンディングが認知されるようになってきましたが、私が投資を始めた頃、ソーシャルレンディングについて知っている人はまだ稀で、知っている人がいたとしても「ソーシャルレンディングは怪しい」と考える人が多かった印象があります。

昨今ではソーシャルレンディングがより認知されるようになってきたとはいえ、まだ投資したことがない方も多いと思いますので、今回は私がどのように考えてソーシャルレンディングへの投資を始めたのかについて紹介したいと思います。

株式投資で高配当の魅力に気が付く

私は2004年に株式投資を始め、当時は主に新興企業に投資していました。ご存知の方も多いと思いますが、2006年にライブドアショック、2008年にリーマンショックが起こり、なかなか手痛い下落を受けました。

株価下落もあって、考えが少しずつ安定志向になり始めた際に、株式市場について改めて調べました。
そうすると、リーマンショック後の劣悪な景気の状態でも、黒字経営で利益の中から配当金を出し配当利回りが5%を超えるような企業が何社もあることに気が付きました。

当然利回り5%で投資し続けたとしても、すぐに大金持ちになるわけではありません。
とはいえ、自分が定年を迎える頃には5000万円以上の財産を築くことができ(100万円/年の投資資金を追加し、税引き後4%程度の配当金を再投資すれば30年で5000万円を超えます)、配当金だけでも手取りで200万円/年も受け取ることができるようになるのです。

このように考えた結果、私はそれまでのキャピタルゲイン目的の投資から、インカムゲイン目的の投資に徐々に切り替えるようになりました。

ソーシャルレンディングへ実際に投資するまでの経緯

インターネット上のニュースでソーシャルレンディングを知る

キャピタルゲインからインカムゲインに思考を切り替えてしばらく経ってから、「インターネット上でmaneoが個人間融資を始める」というニュースを目にしました。

個人がノンバンクからお金を借りるよりも安い金利で借りられる、という点が最大のメリットですが、投資家の視点では株の配当金よりも利回りが高くなる可能性もあること、株のように値動きに惑わされずに投資できることから、「インカムゲインの投資としては株式投資よりも優れているのではないか?」と興味を持ちました。

個人間融資には手を出さなかった

maneoでソーシャルレンディングが始まってしばらくは、「個人が安い金利で借りられる」という点をアピールしていたので、個人間融資のみ募集が行われていました。
個人間融資では、インターネット上で文章だけ読んで見ず知らずの人にお金を貸すことになりますので、利回りが高くても、本当に返してもらえるのか?と疑問を持ちました。

株式投資であれば、失敗したら失敗を教訓に次に活かせるものの、maneoの個人間融資では中身が分からず(目的は公開されていますが、本当の目的を書いているのかは判断できません)、「失敗したらお金を失うだけで得られるものはほとんどどない」、「利回りが高くてもリスクが大きいため実績が伴ってきたら投資しよう」と考えて投資を見送りました。

結果的には投資を見送ったのは正解で、個人間融資はデフォルトが多数発生して元本割れする人が続出していました。

企業向け融資から投資の機会を伺う

maneoの個人間融資でデフォルトや遅延が度々発生して(日本での)ソーシャルレンディングの将来に陰りが見え始めた中、maneoで企業向け融資が始まりました。

銀行からお金を借りづらい飲食店の開業資金に目を付けたようで、借り手にとっては「高金利でも採算があるため開業したい(規模を拡大したい)」、貸し手(投資家)にとっては「高利回りで貸したい」と借り手と貸し手両方のニーズにマッチしたものでした。

私は単なる開業資金ではリスクが大きく投資しようとは考えなかったのですが、飲食店をいくつも経営している企業の保証がついていました。実績がある企業の保証がついているため、「デフォルトのリスクは低く、これならば投資できる」と判断しました。

企業向け融資も最初の頃は利回りが低かった

グループ企業の保証が付くと、デフォルトのリスクは低かったものの、その分利回りが抑えられ、利回り5~6%(当時は投資した金額に対して、投資実行時に1.5%の手数料がかかっていました)で36ヶ月返済と、株式市場で高配当の銘柄に投資していた私には、それほど魅力には感じませんでした。
そのため、企業向け融資が始まっても、すぐには投資を行いませんでした。

ソーシャルレンディングへの投資を決意した日

私がソーシャルレンディングで最初に投資した案件は、maneoで2010年10月に募集を開始した「とんかつ&サラダバー よしかつ」埼玉県入間市 開業資金ローンでした。

ステーキハンバーグ&サラダバー けんで全国展開し始めていた株式会社エムグラント・フードサービスの保証が付いており、期間が12ヶ月と比較的短かったため、「1年程度では潰れることはない。最悪でも、株式会社エムグラント・フードサービスから返済されるため、リスクは非常に低い」と考えました。

さらに、利回りが9.5%と高利回りだったことで、投資してみることにしました(最近のソーシャルレンディング業界では利回り10%以上の案件も多いですが、maneoで企業向け融資を開始した当初は8%超の利回り案件は少なかったです)。
参考までに、私がmaneoで最初の頃に投資した案件・金額を以下に紹介します(maneoの運用予定表)。

サム氏の投資実績

基本的には、実績がある企業の保証付き案件には大きな金額で、代表者の保証だけの案件は抑え気味の金額で徐々に投資資金を増やしていきました。

以前は借り手の情報が詳しく公開されていた

前述の内容を読んだ方の中には、「何故借り手の情報が公開されているんだ?」と疑問に感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

実は、以前は借り手の情報が詳しく公開されておりました。
例えば借入理由が飲食店の店舗拡大であれば、既存店の店名、売り上げや利益を公開してもらうこともできました。
また、グループ企業の保証がない場合、過去の実績を聞いて投資することができたため、ある程度リスクを軽減することができました。

借り手自身が(顔出しで)動画で事業計画を説明して、投資資金を募ることもありました。私は過去の実績を最も重視しながら、インターネット上に顔を出してまで資金を募っている場合、「多少資金難になっても何とか返済するだろう」と考えて、グループ企業の保証がない案件にも積極的に投資するようになっていました。

現在では当局の指導により、借り手の情報を詳しく公開することができなくなっています。

現在の運用状況

現在、私は14社のソーシャルレンディング業者で投資を行っております。
サービス開始した直後の業者が出すサービス開始キャンペーンの高利回り案件に投資しながら、最近は少しずつ、担保がある低リスク案件にも投資するようにしています。
「サービス開始直後であれば安全性が高い案件を持ってくるはず」という安易な考えで投資している案件もあるため、我ながらリスクは高いと感じており、低リスク案件にも投資することにしたのです。

最近のソーシャルレンディング業界について

最近はソーシャルレンディングのサービス業者が次々に増えており、投資家に魅力を伝えるよう、ソーシャルレンディング事業社側の利益をある程度抑えて高利回りの案件が提供されています。

私がソーシャルレンディングを始めた頃は、5~7%程度の案件が主流となっていたので、最近の10%以上の利回りの案件は、非常に魅力的に見えます。
また、不動産担保の案件のように、担保がしっかりしていて比較的リスクが少ないような案件でも、利回りが4~5%程度ありますので、下手に株式投資をするよりも安定した収益を狙える可能性があります。

一方で、高利回りで返済実績がある業者は、募集が始まるとアクセスが集中して繋がりにくくなるほどの熱狂ぶりとなっており、供給(投資案件)に対して、需要(投資家の投資資金)が追い付いてきているようですので、今後利回りは低下していくと予想されます。

高利回りの案件がある内に投資するのか、リスクを抑えて着実に投資を行っていくのかなどの判断は投資家によってそれぞれ異なります。
ソーシャルレンディングで投資をするのであれば、今後はデフォルトが発生することもあるということは十分に理解した上で投資を行って下さい。

1)2017年4月現在

執筆者紹介

サム

仙台在住の個人投資家。自身が運営する 「ソーシャルレンディング研究誌」では、ソーシャルレンディング業界の話題に独自の視点から深く切り込んでいる。