不要な場合も。ソーシャルレンディングの確定申告方法。税金計算の仕方や確定申告の必要可否!

不要な場合も。ソーシャルレンディングの確定申告方法。税金計算の仕方や確定申告の必要可否!

※本記事は税理士による監修をしております。

ソーシャルレンディングで収入を得ている投資家にとって、「税金はいくらかかるのか」や「自分は確定申告が必要なのか、方法はどうすれば良いのか」などは気になる部分でしょう。

日本において収入を得た場合には、個人で所得税を確定申告し、税金を納めるのが原則です。
今回は、そもそもソーシャルレンディングによる投資について確定申告をする必要があるケースとは何かという疑問から、税金の計算方法を知りたいという悩みなどまでお答えいたします。

確定申告が不要な4つのケース

確定申告が不要な4つのケース

まずはソーシャルレンディング投資で収入を得ていても、所得税の確定申告が不要なケースの例を挙げます。

  • (1)給与の支払いを1ヶ所のみから受けており、年間給与収入が2000万円以下、かつソーシャルレンディング、その他の所得※の合計が20万円以下の場合
  • (2)給与の支払いを2ヶ所以上から受けており、年間給与収入が2000万円以下、かつ年末調整をされていない給与の収入金額と、ソーシャルレンディング、その他の所得※の合計が20万円以下の場合
  • (3)公的年金の収入金額が400万円以下、かつ公的年金以外の給与及びソーシャルレンディング、その他の所得※の合計が20万円以下の場合
  • (4)給与、及び公的年金、ソーシャルレンディングなどその他収入※の額が、基礎控除(38万円)や社会保険料控除(健康保険料や年金保険料の支払い額)などの控除額合計以下の場合

上記に該当しない人は、3月15日までに前年分の所得税の確定申告をする必要があります。
また、所得税の確定申告が不要なケースでも、申告をすることで、源泉徴収で引かれた所得税が還付されるケースもあります。

なお、前述の(1)~(3)の条件に該当することを理由に、ソーシャルレンディングまたはその他の所得があるが所得税の確定申告を行わないことを選択した場合、市区町村に住民税の申告をする必要があります。
※ソーシャルレンディング投資家が知っておくべき住民税については後述します

※その他の所得とは
その他の所得とは以下のようなケースです。ここでは投資家の方に該当しそうな例を挙げます。

・ソーシャルレンディングのキャッシュバック(一時所得(後述)に該当する場合は、キャッシュバック金額から50万円を差し引いた額で計算します)
・株式投資の利益額(特定口座、NISA口座での取引や上場株式の配当を除く)
・投資信託の利益額(分配金、NISA口座や特定口座での取引を除く)
・FXの利益額
・不動産投資の利益額
・アフィリエイト、講演、執筆等の収入額 等

なお、退職所得はこれらとは別に課税される(分離課税)ため、ここでは気にする必要はありません。

ソーシャルレンディングの分配金は雑所得

ソーシャルレンディングの分配金は雑所得

そもそも所得とは?

そもそも所得とは、収入から必要経費や控除額を差し引いた額をいいます。

(計算式):収入-必要経費-控除額=所得

雑所得とは所得の種類のこと

所得税法では、その所得に応じて、以下の10種類に区分されており、所得の種類によって、税金計算方法が異なります。
このうち、サラリーマンの給料・賞与は給与所得、ソーシャルレンディングでの分配金は雑所得に分類されます。
また、ソーシャルレンディングのキャッシュバックは一時所得に分類されると言われています。

1. 利子所得
2. 配当所得
3. 不動産所得
4. 事業所得
5. 給与所得
6. 退職所得
7. 山林所得
8. 譲渡所得
9. 一時所得
10. 雑所得

※国税庁は一時所得に関して、「法人から贈与された金品(業務に関して受けるもの、継続的に受けるものは除きます。)」と述べており、キャッシュバックであっても継続的に受け取ると一時所得ではなく、雑所得となる場合があります。(https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1490.htm)

所得はそれぞれ特別控除や必要経費などを差し引く場合があります。
ソーシャルレンディングの雑所得をはじめとしたそれぞれの計算方法は以下の通りです。

給与所得
給与収入-給与所得控除=給与所得

雑所得(ソーシャルレンディングの分配金など)
他の種類の所得に該当しない収入-必要経費=雑所得

一時所得(ソーシャルレンディングのキャッシュバックなど)
一時的な収入の合計-特別控除50万円=一時所得

※収入よりも必要経費や特別控除が大きくても、マイナスにはなりません。

ソーシャルレンディングは総合課税

所得税の課税方式は、「総合課税」と「分離課税」の2種類があります。
そして、「分離課税」は以下の通り、「申告分離課税」と「源泉分離課税」に分けられます。

このような課税方式によって、税額の計算方法が異なります。
ソーシャルレンディングは「総合課税」という課税方式で計算する必要があります。

【FP監修】ソーシャルレンディングの確定申告。税金計算の仕方や所得の扱いも徹底解説
図1:所得税の課税方式

このうち、ソーシャルレンディングの分配金(雑所得)やキャッシュバック(一時所得)は「総合課税」方式で課税されます。

総合課税とは?

総合課税とは、ソーシャルレンディングをはじめとする、以下のような所得に対する課税方式です。

・不動産所得
・事業所得
・給与所得
・一時所得
・雑所得(FX・先物投資以外)
・土地・建物・株式以外の譲渡所得

投資関連では、上記のようにソーシャルレンディングによる収入の他、不動産投資による家賃収入(不動産所得)も総合課税です。

総合課税の計算方法

総合課税は、収入をそれぞれの所得ごとに計算し合算した後、基礎控除や社会保険料控除などの各種控除額を控除した金額に税率を掛けて所得税の計算を行います(下図2参照)。

【FP監修】ソーシャルレンディングの確定申告。税金計算の仕方や所得の扱いも徹底解説
図2:総合課税方式(収入が給与とソーシャルレンディングの分配金の場合)

分離課税とは?

上記の総合課税とは別に、それぞれの所得の種類ごとに所得税を計算するのが分離課税です。

また、前述の通り、分離課税には「申告分離課税」と「厳選分離課税」の2種類があります。
それぞれご自身で申告する必要があるかどうかという点がことなります。

申告分離課税
投資関連で申告分離課税の代表的な収入は、株式の売却益(譲渡所得)やFX・先物投資(雑所得)です。

その他、退職所得、土地・建物の譲渡所得、山林所得等が該当します。

申告分離課税は、総合課税と分けて税金を計算し、申告します。

源泉分離課税
また、投資信託(配当所得)や株式の配当(配当所得)、株式の売却益(株式の譲渡所得)は、証券会社等の特定口座(源泉徴収あり)で取引することにより、この源泉分離課税を選択することができます。

源泉分離課税は、入金される時に税金が源泉徴収され、申告をする必要のない課税方式です。

銀行の利息(利子所得)も源泉分離課税方式が適用されています。皆さんの口座に振り込まれている預金利息は、所得税等が控除された後の金額なのです。

ソーシャルレンディングの分配金は税金が引かれている

ソーシャルレンディングの分配金は、あらかじめ税金が引かれた金額で入金されます。
つまり、源泉徴収されています。
ソーシャルレンディング事業者が、所得税を前払いしているのです。

ソーシャルレンディング事業者により分配金支払い時に源泉徴収される税率は、所得税20%+復興特別所得税0.42%=合計20.42%です。

源泉徴収額が、所得税と同額とは限らない

総合課税の部分で触れましたが、総合課税となる所得は、合算されてから所得控除をした金額で所得税が計算されます。

その計算された所得税額より源泉徴収額が多い場合、申告することによって還付を受けることができます。
還付の申告は、確定申告の義務がない場合でも可能です。

※確定申告をした方がお得になる例は追記予定です

ソーシャルレンディングの確定申告手順

では、実際にどのように確定申告を行なうのかを見ていきましょう。

まず、確定申告の際に用意するものは以下の通りです。

・ 支払調書(ソーシャルレンディング事業者から送付されます)
・ 源泉徴収票(サラリーマンの場合、会社からもらいます)
・ その他所得控除に必要なもの(個々人により異なります)
 →社会保険料の控除証明書(年末調整時に未提出の場合)
 →生命保険料、地震保険料控除証明書(年末調整時に未提出の場合)
 →医療費の明細書と病院等の領収書(医療費控除を受ける場合) 等

今回は「確定申告書等作成コーナー」を使った確定申告書の作成手順を簡単に解説します。

確定申告書作成コーナーは、国税庁が提供しているサービスですが、非常に使い勝手がよいです。
税務署の申告書作成会場で相談員を担当している税理士の方も、この確定申告書作成コーナーを利用して相談者の申告書の作成を行なっている方が多いので是非おためしください。

では国税庁のページから、以下の順に進んでいきましょう。

  • 1. 「確定申告書等作成コーナー パソコンで申告書等を作成される方」をクリック
  • 2. 「申告書・決算書・収支内訳書等 作成開始」をクリック
  • 3. 「書面提出」をクリック(今回は書面提出を前提に解説)
  • 4. チェック項目を確認の上、選択
  • 5. 「所得税コーナー」をクリック
  • 6. 真ん中の「左記以外の所得のある方(全ての所得対応)」の赤い「→作成開始」ボタンをクリックし、作成開始。
  • 7. 生年月日を入力
  • 8. 収入・所得金額を入力する画面になります。

上記画面から、自分が得た所得を選択し、項目に従って入力していきます。

給与やソーシャルレンディングに関する所得だけでなく、申告分離課税の投資信託や株式投資、FXや先物の所得もこちらから選択できます。
給与所得は、画面に従い、源泉徴収票を見ながら入力しましょう。

ソーシャルレンディングの分配金は雑所得のその他を選択し、入力します。
また、複数のソーシャルレンディング事業者を利用している場合は、事業者ごとに記入していきます。

「種目」は分配金を選択し、「名称」「場所」「収入金額」「源泉徴収税額」は、ソーシャルレンディング事業者から送付された支払調書を見ながら入力すれば問題ありません。また、「必要経費」は発生していなければ空欄にしましょう。

残りは、所得控除の入力や、その他の項目を入力すれば、税額が計算されます。それを印刷して郵送か税務署へ直接提出します。

※自分が確定申告不要のケースであっても、一度この作成コーナーで所得を入力してみると、還付を受けられるかどうかがわかります。

もし、自分で入力するのが難しいと感じたら、確定申告の時期に税務署で行なわれている申告書作成会場で、相談員の方に聞いてみると良いでしょう。
源泉徴収票と支払調書を用意した上で、雑所得の申告がしたい旨を伝えると、記入方法を教えてもらえます。

その他の投資等も行なっており、税理士への依頼を考える場合

資産運用に関する税制は、ほとんど扱った経験のないという税理士事務所も少なくないため、できる限り資産税制に強い税理士の方を探すようにしましょう。

ソーシャルレンディングにおける住民税の考え方

不要な場合も。ソーシャルレンディングの確定申告方法。税金計算の仕方や確定申告の必要可否!

住民税とは

道府県民税(東京都では都民税)と市町村民税(東京23区では特別区民税)をあわせて住民税と呼びます。

通常、所得に関わらず一定の均等割と、所得に応じて課税される所得割を合わせて納付します。

ソーシャルレンディングの分配金にも所得割が課税されます。
また、ソーシャルレンディングの分配金については、所得税のみ源泉徴収することとなっており、住民税の源泉徴収はされていません。

平成29年度の所得割の一般的な税率は以下のとおりです。

道府県民税 市町村民税 合計
課税所得金額×4% 税所得金額×6% 税所得金額×10%

以下の地方自治体では、条例によって標準税率とは異なる税率が適用されます。

(道府県民税)神奈川県:4.025%
(市町村民税)夕張市:6.5%、名古屋市:5.7%、豊岡市:6.1%

住民税の申告義務

以下の「住民税の申告が不要な場合」に挙げている場合を除き、すべての方が住民税の申告をする義務があります。
給与以外の雑所得等の合計額が20万円以下のため所得税の確定申告をしないこととした場合にも、住民税の申告は必要となります。

【住民税の申告が不要な場合】
・所得税の確定申告を行ったもの
・給与所得者で、給与および退職所得、預金利息等(*1)以外の所得がないもの
・公的年金等(国民年金、厚生年金など)の受給者で、公的年金および退職所得、預金利息等(*1)以外の所得がないもの
・所得割の納税義務を負わないもの(*2)で、市町村が条例で定めたもの(市町村によっては、無収入でも申告義務があります)

1) 預金利息、上場株式等の配当、証券会社の特定口座(源泉徴収あり)での譲渡損益。
他の所得とは別に課税・納付されるため、住民税の申告義務に影響しない。
なお、ソーシャルレンディングの分配金はこれに該当しない。

2) 目安としては、(給与-65万円、ただし0未満にはならない)+その他の所得(*1を除く)が、33万円×(被扶養者人数+1)を超えない場合。

住民税の申告をしないとどうなるのか

住民税の申告をしていない場合、市区町村の税務部署の調査によって、無申告や脱税がばれてしまう可能性があります。

今までは雑所得20万円以下の場合に住民税の無申告を指摘されることは稀でしたが、これからも見逃されるとは限りません。

特にソーシャルレンディングの分配金については、ファンドから支払調書(分配金額、支払先の住所、氏名、マイナンバーが記載されています)が税務署に提出されています。
支払調書は電子データとして国税庁から市町村に提供されていますので、市町村の税務部署がその気になれば、簡単に捕捉できる条件が整っています。

5年内で市町村が「その気」になる可能性は十分にあると思いますので、面倒くさがらずに申告しましょう。
また、過年度の住民税が未申告であれば、今からでも市町村に相談することをお勧めします。

なお、市町村の調査によって住民税の無申告・脱税がばれた場合、年利2.7%(平成29年の場合)の延滞金と、10万円以下の過料が課せられることがあります。

住民税の申告先、申告方法

住民税の申告先は、前年の1月1日時点で居住している市町村となります。
都道府県民税に関する申告も市町村で受け付けています。

申告書の作成サポートは、市町村によって異なります。
国税庁のようにWeb上で申告書を作成・印刷できるサービスを提供している市町村、Webサイト上で様式を公開しておらず、市役所に直接出向くか申告書を郵送してもらう必要がある自治体など、様々です。

市区町村のWebサイトを見てわからなければ、とりあえず役所に電話してみましょう。

また、所得税の確定申告をすれば住民税の申告は不要となりますので、市町村の申告書が分かりにくい場合や遠隔地に引っ越した場合などは、サポートや解説が充実している確定申告をしてしまうこともお勧めです。

※例:横浜市 http://www.city.yokohama.lg.jp/zaisei/citytax/shizei/kojin/simulation.html)もありますが、申告書様式をダウンロードできるようにしている自治体(例:葛飾区 http://www.city.katsushika.lg.jp/1000014/1007359/1007372/index.html)もあります。

金融商品ごとの所得税取り扱いの比較

投資金融商品ごとの所得税の取り扱いについて比較します。

金融商品 株式投資
投資信託
先物投資 ソーシャルレンディング
所得の種類 配当所得
譲渡所得
雑所得 雑所得
課税方式 申告分離課税
(源泉分離課税も選択可能)
申告分離課税 総合課税
税率 15% 15% 累進課税税率
(課税所得金額を元に、所得税の速算表により計算※)

比較すると、ソーシャルレンディングはまだ税制が整っていないことがよくわかります。
今後、税制が改正され、分離課税で簡便的な処理ができるようになってくる可能性があるため、ソーシャルレンディングがより普及してくることが待たれます。

※参考:所得税の速算表(2017年4月現在)

所得税額=所得金額×税率-控除額

課税される所得金額 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円超330万円以下 10% 97500円
330万円超695万円以下 20% 427500円
695万円超900万円以下 23% 636000円
900万円超1800万円以下 33% 1536000円
1800万円超4000万円以下 40% 2796000円
4000万円超 45% 4796000円

注)上記に加え、復興特別所得税(原則としてその年の所得税額の2.1%)も併せて申告・納付します

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