オーナーズブック岩野社長 インタビュー

オーナーズブック岩野社長 インタビュー

日本初の不動産特化型クラウドファンディング「オーナーズブック」。一流の人材が集う不動産のプロフェッショナル集団を束ねる岩野社長に、これまでの半生、オーナーズブック誕生までの軌跡、今後の展望について語っていただきました。

どうせなら1番を目指す。挫折を糧に第一志望校へ。

 小学1〜3年生までは、父親の仕事の都合でアメリカのニュージャージー州に住んでいました。その後、日本に帰国し、小学校5年の時に千葉に引っ越しました。

ところが、その引っ越し先で予期せぬ出来事が。その地域から進学する予定の中学校には、男子全員が坊主にしなければならないという校則があったのです。思春期ということもあって、坊主になるのはどうしても嫌でした(笑)。

でも、このまま、その中学校に進学すれば強制的に坊主になってしまいます。考えた末、急遽、受験をして私立の中学校に進学しようと思い立ちました。しかし、残念ながら時間が足りず不合格。とても悔しい思いをしました。
  
 その悔しさを払拭するため、高校受験こそは一番良い学校に入ってやろうと一念発起。勉強はあまり好きではありませんでしたが、入試をゲームに見立て、攻略法を研究しました。
見方を変えると、これまで苦痛だった勉強が、徐々に楽しく感じられるようになりました。共に学ぶ仲間にも恵まれ、最終的に無事志望校であった開成高校に入学することができました。

 私は、今でも、ビジネスを行う上で戦略を優先的に考えます。思い返せば、「攻略法を研究し、実行する」というプロセスはこの時期に身につけたような気がします。

多くの出会いに恵まれた学生生活

  開成高校は飛び抜けて優秀な人達が集まる刺激的な場でした。後に、私は世界的に有名な外資系企業で、多くの超一流と呼ばれるビジネスマン達と一緒に仕事をすることになりますが、正直なところ高校の同級生達の方が優秀であるなと感じることがありました。

会社を退職し、起業を志したのも、自分の周りには優秀な友人や仕事を通じて知り合った仲間がいて、そのような面々が集まって一緒に仕事をすればもっと大きなことが成し遂げられるのではないかと考え始めたことがきっかけです。

 高校卒業後は東京大学に進学しました。大学では、東京大学スポーツ愛好会、通称、「スポ愛」というテニスサークルに所属し充実した日々を過ごしました。実はこの「スポ愛」は最近若手起業家を数多く輩出しています。
サークルを通じて知りあった同級生や後輩達とは今でも定期的に会って交流を深めており、弊社にも複数名の「スポ愛」出身者が在籍しています。

高校、大学時代を通じて知り合った学友達との繋がりは、人生の大きな財産となっています。

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大きな変化を迎える不動産市場に可能性を感じ不動産鑑定士を目指す

大学在学中、様々なことに好奇心を持って取り組んでいきましたが、その中でも、私が特に強く興味を惹かれる分野がありました。それが不動産です。
 
 1990年代半ば、日本の不動産市場は世界の中でガラパゴス的な状態にあり、国際化の影響を受け急速に変わり始める過渡期を迎えていました。変化があるところには、新しいチャンスが生まれるものです。私にとって、当時の不動産業界はとてつもなく大きな可能性を秘めたフロンティアのように感じられました。

 この世界で勝負したい。しかし、どんな能力を身につけたら、この不動産業界で価値ある人材になれるのだろうか。色々と思案した結果、不動産の正しい価格が分かる人が一番有利だなという結論に達しました。不動産価格を決めるための理論を構築したい。そう考えた私は、周囲が官僚や大手企業を目指す中で、不動産鑑定士になるべく勉強を始めました。
 
 必死で勉強した甲斐もあり、在学中に不動産鑑定士の試験に合格。卒業と同時に、不動産鑑定を行う企業としては日本最大手の日本不動産研究所に入社しました。これは当時としても異色な進路。東大出身の新卒で日本不動産研究所に入社したのは、私が初めてでした。

不動産鑑定の理論を学ぶ中で感じる物足りなさ

日本不動産研究所では、徹底して不動産価格を決定するための理論を学びました。充実した日々ではありましたが、知識が蓄積されていくと同時に、少しずつ物足りなさを感じるようになっていきました。例えば、ある物件に対して、自分が10億円と評価する。一方で上司はその物件を12億円と評価する。これについては、どれだけ議論してもその差は埋まりません。

机上の理論だけでは現実味が薄く、自分自身でも不動産の売買に携わる必要があるな、と感じるようになりました。実際の不動産マーケットで自分の理論がどの程度あっているのか確認したい。そんな思いが強まり、転職を意識するようになりました。

理論から実践へ

2000年にゴールドマン・サックスグループの不動産運用会社であるゴールドマン・サックス・リアルティ・ジャパンに転職をします。ゴールドマン・サックス・リアルティ・ジャパンでは、4年ほど不動産のアクイジションやアセットマネジメントに携わりました。

資金が豊富な会社だったので、不動産を購入し、管理運営し、売却するといった実務経験を短期間にたくさん積むことができました。また、その経験の中で、自分の理論による価値算定が間違っていないことも確認することができました。
 
 その一方で、ゴールドマン・サックス・リアルティ・ジャパンでの仕事は、あくまで会社の意思に従い不動産取引をしているだけで、自分自身が直接意思決定に携わっているわけではありませんでした。会社から言われた通りに取引をしているうちは本当の勝負ができない。

そんな思いが強まり、2004年にアメリカの大手不動産投資ファンドであるロックポイントに転職しました。ロックポイントでは7年ほど、不動産投資の意思決定に関わる業務を日本の資産運用会社と共に行っていきました。

 理論から始まり、現場で実務を学び、意思決定に携わる。不動産取引の一連の流れを経験したことで、自然と最後は自分の力で不動産事業をしたいと思うようになりました。

 そして2012年、ゴールドマン・サックス・リアルティ・ジャパン時代の同僚だった森田と中川と一緒にロードスターキャピタルを立ち上げることになります。 

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クラウドファンディングとの出会い

 ロードスターキャピタルの不動産事業は順調に立ち上がり、初年度から案件に恵まれ、2年目にはREITの仲介案件なども行うようになりした。

 そんな中、2014年にNYSEに上場しているRENRENというIT企業から、色々なご縁で出資をいただくことになりました。その際に、先方から不動産とITを組み合わせた事業を何かできないかと提案があり、新規事業の検討に乗り出すことになりました。
 
 色々と新規事業を模索する中、アメリカのとあるスタートアップと面談する機会をいただき、そこで、不動産分野のクラウドファンディングがアメリカで盛り上がっていることを知ります。

私がIT出身でなかったことから、IT自体には多少抵抗感がありましたが、不動産であれば、まさに自分達の専門分野。興味を持って詳しく聞いてみると、すごく可能性のあるビジネスだということがわかってきました。この事業であれば、自分達の強みも生かしながら、ITを活用した事業を始めることができる。

 クラウドファンディング事業への参入を具体的に検討することにしました。

「OwnersBook(オーナーズブック)」をスタート

調べてみるとクラウドファンディングはとてもシンプルな仕組みでした。これまで我々は機関投資家からお金を預かり不動産の運用をしてきましたが、その機関投資家の多くは結局のところ個人投資家の資金を束ねて運用しているにすぎません。

一方、クラウドファンディングは、個人投資家に、直接、我々の運営するファンドに投資をしていただく仕組みです。これまで機関投資家が間で抜いていた手数料を中抜きすることで、より多くの収益を個人投資家に還元することができるようになります。

 不動産は株や為替ほど値動きが激しくなく、安定志向の日本人に向いています。ところが、当時は個人投資家が参加できる不動産投資というと、マンション投資やREIT程度しかありませんでした。

マンション投資のパフォーマンスは安定的ですが、大きな利益を得にくいですし、それなりの資金が必要になります。REITは運用会社のクレジットを買っているという側面があり、純粋な不動産投資ではありません。

 クラウドファンディングであれば、一般の個人が少額で様々な物件に分散投資することができます。新しい仕組みだからこそ道を切り開くのは大変ですが、着実に実績を積み上げていくことができれば、いずれとてつもなく大きな資金を運用できるというイメージが湧きました。収益モデルもストック型なので、損益分岐点を越えれば安定します。

 将来的にはクラウドファンディングで集めた資金を使って財閥系のデベロッパーに並ぶ規模感の不動産開発を行い、日本の不動産市場を活性化したい。そんな希望を抱きながら、2014年9月に日本初の不動産特化型クラウドファンディング「OwnersBook(オーナーズブック)」をスタートさせました。

オーナーズブック

OwnersBook(オーナーズブック)は不動産投資のプロが運用するクラウドファンディング

 OwnersBook(オーナーズブック)は、クラウドファンディングの仕組みを利用して、一般の方でも、ほんの少しの資金で不動産投資を始めることを可能にした資産運用プラットフォームです。
投資の初心者から資産額の大きな投資家の方まで、幅広い方々がメリットを享受することができます。サイトには物件概要、リスク分析、財務構造など、開示可能な範囲でわかりやすく情報を掲載しています。

 OwnersBook(オーナーズブック)の強みは、運用会社の信頼性です。ロードスターキャピタルには不動産投資のプロフェッショナルが集い、不動産売買事業に関しては今期だけでも既に100億円以上を自社のバランスシートで行っています。

ファンド組成、審査を行うメンバーは不動産投資の第一線に20年以上身を置く一流のプロフェッショナル。本物の不動産のプロが、長年の経験に基づき、リスクをコントロールしながら投資家の皆さまに最適な商品を組成しています。

 現在の予定利回りは5〜6%(年換算)程。もっと高い利回りのファンドを組成することもできますが、その場合、それだけリスクが高まります。我々は、まず何よりもデフォルトを起こさないという点にファーストプライオリティを置き、安全性の高い借り手・担保不動産に限定し貸付を実行しています

不動産鑑定士が念入りに担保物件を鑑定

 
 担保に差し出される不動産の価格査定も念入りに行っています。社内に不動産鑑定士が5名在籍しており、彼らが様々なデータを基に物件を調査します。さらに外部の不動産鑑定士からもレポートをもらい二重のチェックでより精度を高めています。

万一、貸し倒れが発生し、担保物件を売却しなければならなくなった場合でも、日々の不動産取引で培った業者ネットワークを活用することで、早期に物件の売却が可能と考えています。

 以上のように、慎重に融資審査を行い、万一の場合の対処にも万全を期すことで、自信を持って個人投資家の皆さまに商品をおすすめすることができています。

不動産投資のプロが投資する際に気にしているのは「物件の第一印象」

我々が、不動産を評価する際に意識しているのは、物件の第一印象です。どんなに売り手がこの物件が良いと熱心に説明をしても、初めて見た時の第一印象が悪いと、じゃあこの物件を買おう、とはなりません。そして、この物件の良し悪しの感覚は、意外にも皆が同じように感じることが多いのです。
 
 ロケーションも重要です。投資用不動産を購入する場合、人が増加し、経済活動が活発な地域でないと流動性が損なわれます。そのため、基本的には、東京の不動産を中心に取り扱っています。ただ、東京でも人気のエリアと不人気のエリアがあり、それによって流動性が異なります。

渋谷区、目黒区などは、人気エリアのため流動性が高く、逆に東京であっても東側の地域はあまり物件が動きません。同じ程度の収益性が期待できる物件であっても、地域によって、流動性が異なり、リスクの差が生じてきます。

 第一印象が良いか、エリア的に人気か、大きな道路に面しているか、建物のクオリティーが優れているか、などの観点に立って、物件を見極めていくと、リスクは減っていきます。

 我々はこれまでの豊富な不動産取引の経験から、このビルであれば必ず業者が買ってくれる、このビルであれば、少し古いけど、この部分を直せば誰かが買ってくれる、など、直感と言えるくらいのスピード感でその物件の価値や売れ行きが判断できるようになっています。

オーナーズブック 今後の展望

現在オーナーズブックは貸付型ですが、将来的にはエクイティ型についての参入も検討しています。

 エクイティ型であると、我々が自社でやっている自己資本での不動産投資にも個人が少額から参加できるようになります。もちろん、貸付型よりもハイリスクですが、その分ハイリターンを期待できます。貸付型ではベースを5〜6%(年換算)程度の利回りに設定していますが、エクイティ型であれば、数10%(年換算)というリターンを受け取れる可能性があります。

 不動産取引のプロがセレクトした物件に個人が少額から参加できるようになれば、これはとても画期的なことではないかと思います。このモデルをスタートするには、ライセンスの問題もあり、もう少し時間はかかりますが、近いうちに実現したいと考えています。

クラウドファンディングには、不動産の力で世の中を変える可能性が秘められている。

 クラウドファンディング事業は、社会貢献の側面も持ち合わせており、世の中を変えていける力があると思っています。不動産事業者は、これまで何かを建設することなどで社会に貢献をしてきました。

しかし、新たな仕組みを創ることで世の中を変えていけるというのは、数少ないチャンスだと思っています。もちろん、社会貢献だけでは事業が続かないので、しっかりと利益を出すことも大事ですが、この事業は、地に足をつけて、じっくりと時間を掛けて大切に育てていこうと考えています。
 
 地道にやっていますが、自信を持って良い商品を作っていると自負しています。個人投資家の皆さまには、ぜひ利回りだけでなく、運営会社やディールの本質にも目を向けていただければと思っています。

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