債券は個人が投資できる金融商品のひとつで、株式や投資信託とは特徴が異なります。
今回は、債券投資の基本やメリット・デメリット、投資できる債券の種類について解説します。
目次
債券とは
債券とは、国や企業などが投資家からお金を借りる(資金調達する)際に発行される借用証書のようなものです。
代表的な債券には、国が発行する国債、地方公共団体が発行する地方債、企業が発行する社債などがあります。
債券は満期(償還期限)まで保有すると、債券に記載されている額面金額で償還されるのが特徴で、保有期間中は定期的に利息が支払われます(利付債)。
また、利息の支払いがない代わりに、額面金額より低い価格で発行され、満期時に額面金額で償還される債券(割引債)もあります。
債券は必ず満期まで保有する必要はなく、時価で途中売却も可能です。
債券価格と市場金利の関係性を理解する
債券価格と市場金利は、以下のような関係があります。
- 市場金利の上昇:債券価格の下落(債券の利回りは上昇)
- 市場金利の下落:債券価格の上昇(債券の利回りは下落)
市場金利が上昇すると、保有中の債券より新規発行される債券のほうが利回りは高くなるため、債券が売られて(需要が下がり)債券価格が下落します。
一方で、市場金利が下落すると、新規発行される債券より金利が高い発行済の債券を買うほうが利回りは高くなるため、債券が買われて(需要が上がり)債券価格が上昇します。
このように、市場金利は債券価格に大きな影響を与えます。
債券投資のメリット
次に、債券投資のメリットについて解説します。
銀行預金よりも比較的金利が高い傾向にある
債券は銀行預金よりも比較的金利が高い傾向にあります。
2018年12月6日時点で、三井住友銀行の普通預金金利は年率0.001%、定期預金金利は年率0.010%となっています。※1
一方、個人向け国債変動10年は実勢金利の動きに応じて半年ごとに適用利率が変わりますが、最低でも年率0.05%の金利が保証されています。※2
また、企業が発行する社債は、個人向け国債よりも金利が高い傾向にあります。
株式投資と比べて手間があまりかからない
債券投資は、株式投資に比べて手間があまりかからないのもメリットです。
株式投資で売却益を得るには、常に株価を確認していつ売却するかを判断しなくてはなりません。
保有銘柄によっては年1回~2回配当金を受け取れますが、株価が下落した段階で売却すると配当金で得られる利益よりも損失が大きくなるリスクがあります。
債券も途中売却すると損が出る可能性はありますが、原則として満期まで保有して額面金額が償還されれば損が出ることはありません。
また、株式のように常に価格を気にする必要はなく、保有している間は定期的に利息を受け取れます。
満期が決まっていて、途中売却も可能
債券はあらかじめ満期が決まっており、満期まで保有すれば額面金額が償還されるので、計画が立てやすいのが特徴です。
しばらく使う予定がないお金で債券を購入すれば、定期的に利息収入を得られます。
また、債券は途中売却も可能なので、急にお金が必要になることがあった場合は、すぐに売却を検討できます。
債券投資のデメリット
続いて、債券投資のデメリットについて解説します。
債券によっては為替変動リスクを受けることもある
債券には円建てだけでなく外貨建てもあるので、債券によっては為替変動リスクを受けることもあります。
たとえば、米国が発行する国債(米国債)は個人でも購入できますが、米ドル建てで発行されます。
購入したときよりも円安になれば為替差益を得られますが、円高になると為替差損が発生してしまいます。
このように、外貨建て債券を購入した場合は、為替変動リスクを受けるので注意が必要です。
【米国債の詳細はこちら】
途中売却をする場合、損失を出す可能性がある
債券は満期まで保有すれば額面金額が償還されますが、途中売却をする場合は時価で取引されるため、損失を出す可能性があります。
債券価格は市場金利の影響を受けるので、金利の動向によっては途中売却で利益が出ることもあります。
しかし、必ず利益が出るわけではないため、債券投資をするときは満期まで保有することを検討したほうがよいでしょう。
発行体が倒産した場合などの信用リスクがある
債券投資は、発行体が倒産した場合などの信用リスクがあります。
債券に投資をすることは、発行体にお金を貸すのと同様です。
もし発行体の財務状況が悪化すると、投資元本や利息の支払いが遅延したり、最悪の場合は債務不履行(デフォルト)が発生したりする可能性もあります。
債券の信用リスクに備えるには、投資する前に格付機関の格付けを確認するようにしましょう。
ムーディーズやS&P(エス・アンド・ピー)といった格付機関が、債券ごとに信用リスクの格付けを行なっています。
格付けは「AAA」や「C」といった記号で表わされ、例えばS&Pの場合は「BBB」以上が投資適格債であると定義されています。
投資できる債券の種類
最後に、投資できる債券の種類を解説します。
国債
国債とは、国が発行する債券で、「利付国債」と「個人向け国債」の2種類があります。
利付国債の商品種類は以下の通りです。
- 超長期国債(20年、30年、40年:固定金利)
- 長期国債(10年:固定金利)
- 中期国債(2年、5年:固定金利)
- 変動利付国債(15年:変動金利)
カッコ内の年数は、償還期間を表しています。
変動利付国債は額面10万円単位、その他は額面5万円単位で購入でき、時価で途中売却も可能です。
一方、個人向け国債の商品種類は以下の通りです。
- 変動10年(基準金利×0.66:変動金利)
- 固定5年(基準金利-0.05%:固定金利)
- 固定3年(基準金利-0.03%:固定金利)
購入単位は額面1万円単位で、年率0.05%の最低保証金利があり、6か月ごとに利息が支払われます。
1年経過後は途中売却できますが、直前2回分の利息相当額が調整されます。※2
【国債の詳細はこちら】
地方債
地方債とは、地方公共団体が発行する債券のことです。
地方公共団体はさまざまな行政サービスを提供しており、歳入をまかなうことを目的に発行されます。
地方債は引受機関である証券会社や金融機関を通じて購入できます。
政府関係機関債(特別債)
政府関係機関債とは、独立行政法人などの政府関係機関や日本政策金融公庫などが特別な法律に基づいて発行する債券で、特別債とも呼ばれます。
政府の保証を付けて発行される「政府保証債」や、政府の保証が付かないで公募形式で発行される「財投機関債」などがあります。
社債
社債とは、企業が資金調達を目的に発行する債券です。
株式の発行や金融機関の借り入れ以外の資金調達手段として、社債の発行が行われます。
社債は発行体が一企業であるため、国債や地方債などに比べると信用リスクが高く、その分金利が高いのが特徴です。
【社債の詳細はこちら】
外国債券
外国債券とは、発行市場や発行体、通貨が外国である債券のことです。
国内債券に比べて外国債券は、比較的利回りが高いメリットがあります。
たとえば、2018年12月時点で、米国国債30年の利回りは年率3%を超えています。※3
しかし、外国債券は為替リスクがあり、円安になれば為替差益を得られますが、円高になると為替差損が発生します。
外国債券を購入するときは利回りだけでなく、為替相場を確認しておくことも大切です。
まとめ
債券投資は定期的に利息を受け取れて、満期になれば額面金額が償還されます。
銀行預金に比べて利息が高く、満期まで保有するのが目的なら価格を気にする必要がないため、株式投資に比べると手間がかからないメリットもあります。
ただし、信用リスクや為替リスクがあるため、投資をするときは発行体や為替の動向に注意することが大切です。
※1:三井住友銀行、円預金金利
※2:財務省、個人向け国債
※3:SBI証券、マーケット情報