資産運用においてポートフォリオを作成することは、目的通りに投資できているかを把握するための有効な方法です。
今回は、資産運用において理想的なポートフォリオとはどのようなものか、また、その作り方までお話します。
目次
資産運用におけるポートフォリオとは
ポートフォリオとは、自分の運用資産がどのような資産(投資先など)で構成されているかを表すものです。
ポートフォリオ次第で見込みリターンやリスクは異なります。例えば、株式投資やREIT、債券投資にはそれぞれ異なったリスク・リターンを持ち、保有する金融資産の構成が変化すれば自分の資産のリスクとリターンも変動します。
金融商品の特徴を理解した上で、ポートフォリオを作成し、それに基づいて資産運用を行うことで、目標としているリターンが得られやすくなるでしょう。
ポートフォリオ作成前に資産運用の目的を明確化
ポートフォリオを作成する前に、自身が資産運用を行う目的を明確にしておく必要があります。
例えば、今後のための資産運用の勉強と思うのであればまずは少ないリターンでも低リスクに抑えたいでしょう。投資額が少なく、失っても働くことですぐにカバーできる金額であれば、比較的期待リターンが高い投資対象を検討することもあるかもしれません。
どのような目的を持って資産運用を行うのかを明確にすることは、自分のポートフォリオが正しい方向に向かっているのかを示す指標になります。
状況を把握してポートフォリオを組んでいく
資産運用の目的以外にも自身の年齢や資産状況は考慮しなければいけません。年齢が若いほど働くチャンスも多いので、大きなリスクが取ることができます。
また、保有資産が大きければローリターンでも十分な利益を上げられます。目的と自身の状況に適したポートフォリオを考えていきましょう。
ポートフォリオの考え方
実際にポートフォリオを組むにあたって、押さえておきたいポイントがいくつかあります。ここでは、それらのポイントについて解説していきます。
分散投資で考える
ポートフォリオ作成を始める前に、考えるべきポイントは分散投資をすることです。つまり、今後の経済がどのように動いてもリスクを抑えられるポートフォリオが理想となります。
例えば、日本の株や投資信託ばかり購入していたとすると、円の価値が低くなってしまえば保有資産全体の価値が下がります。このような状況を防ぐためには海外の金融商品を組み込むことも必要ですよね。
国内株式、国内投資信託、国内債券、海外株式、海外投資信託、海外債券、不動産投資といった投資対象のバランスを意識しながら作成するようにしましょう。
長期的な視点を持つ
一度に金融商品を全て購入するのではなく、投資タイミングを分散させることも有効な方法になります。そうなると長期的に金融商品を保有することになるので、ポートフォリオを作成しておくことが大切になってきます。
短期的なリターンで資産運用をする方には作成が手間になってしまいますが、分散投資で目標のリターンを目指していきたい方は長期的な視点を持つことでポートフォリオ作成や管理の重要度がわかってくるはずです。
投資スタイルを考える
投資スタイルを考える場合は、金融商品の中でもハイリスク・ハイリターンの投資対象、ローリスク・ローリターンの投資対象をどのくらいの割合・投資額で持つかが一つの目安にするとよいでしょう。
例えば債券投資と株式投資のリスク・リターンは大きく異なります。リターンが大きい金融商品に積極的に投資するのか、一つの投資商品に長期投資するのかでは、ポートフォリオの構成も大きく変わります。目標のリターンやリスクを考慮しながら、常に投資スタイルについては柔軟にしていくようにしましょう。
【年齢や職業でも変わる?資産運用のポートフォリオについて具体的に知りたい方はこちら】
ポートフォリオを作成する4つの方法
エクセルを活用する
自分で資産の構成状況を決定してリスクとリターンだけを確認したいという人は、エクセルを活用してポートフォリオを作成するのがいいでしょう。
例えば、ある個人ブロガーさんが作ったエクセルでは、どの商品に何%投資していてリスクとリターンがどれくらいかひと目で見られます。自分に合ったエクセルを作成してポートフォリオを考えるのもいいですね。※1
ファンドラップを活用する
ファンドラップとは、投資家のリスクや年齢、投資経験などに応じて運用を行なってくれるサービスです。大和証券やSMBC日興証券といった大手証券会社が主に提供しています。
ただし、ファンドラップは手数料が高く、SMBCファンドラップでは3ヶ月ごとに約1.5%もの手数料がかかります。また最低投資金額が数百万円からと大きな元手が必要になるサービスでもあります。※2
きちんとプロと相談して投資先を決めたいと考える人や、資産運用を自分でするのが怖いと考える人にはいいかもしれません。
【ファンドラップについて詳細を知りたい方はこちら】
ロボアドバイザーを活用する
資産運用のポートフォリオを作成する上でロボアドバイザーを利用する方法があります。ロボアドバイザーは、いくつかの質問に答えるだけで、最適なポートフォリオを作成してくれます。それに納得したら、口座開設や入金、運用といった資産運用をしていく形です。
現在さまざまなロボアドバイザーがあり、松井証券や楽天証券、マネックス証券なども類似のサービスを展開しています。ネットやアプリから簡単に始めることができるため、自分が考えているポートフォリオがどのようになるのかを確かめてみるのもいいかもしれません。
【ロボアドバイザーについて詳しく知りたい方はこちら】
ファイナンシャルプランナーに相談する
お金・資産運用のことは専門家に相談するのが良いと思われる方も多いでしょう。ファイナンシャルプランナーとの相談であれば投資のことはもちろん、人生の総合的な資金計画を一緒に考えることができます。
ポートフォリオ作成においても的確な意見をもらえますが、自分の将来設計についてもアドバイスが欲しいなどを考えるのであればいい選択になるのではないでしょうか。
年に1度見直すべきポートフォリオのチェックポイント
ポートフォリオは一度作成すれば終わりというものではありません。きちんと自分が期待したどおりに運用されているかを確認する必要があります。年に一度はチェックしておきたいポイントについて解説します。
運用スタイルに合っているか
1年経てば投資・資産運用の感覚も多少身につき、もう少し大きなリスクを取ってもいいと思う機会もあるでしょう。反対に思ったより時間が足りず、アクティブ型のポートフォリオを運用するのは大変と思われるかもしれません。
そのような運用方針や運用スタイルを少しずつ調整することによって、自分にとって理想的なポートフォリオになっているか確認することが重要になります。定期的に調整することを心がけておくとよいでしょう。
期待したリターンを生み出しているか
投資・資産運用をする上で自分が期待したリターンを本当に生み出しているかは定期的にチェックしておきたいポイントです。思うようなリターンが得られていないときはもちろんですが、期待したリターンが得られている場合も「なぜ、期待どおりのリターンが得られたか」を考えることで、今後の投資も期待どおりのリターンが得られるようポートフォリオに調整していくことができるでしょう。
まとめ
投資となると大きなリターンに目が行きがちですが、人によって理想的なポートフォリオは異なります。自分がどのような目的を持って投資を行なうのか考えた上で、目的に向かって資産運用をしていきたいですね。
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※2:SMBCファンドラップ