金融商品にもよるものの、資産運用には相応の手間がかかります。
そのため、自分で資産運用を行う時間が確保できない人などは、資産運用を行うことを諦めてしまうかもしれません。
そんな悩みを解決する運用方法の一つとして、資産運用を一任できるラップ口座というものがあります。
今回は、ラップ口座のメリットやデメリット、始め方などについて解説します。
目次
ラップ口座とは
ただし、株式投資には知識や経験が必要です。
投資の経験・知識のない初心者や自分で資産運用を行う時間が確保できない人の場合には、株式投資は比較的ハードルが高くなってしまいます。
ラップ口座とは、投資の初心者や時間を確保できない人でも資産運用が比較的簡単に行えるよう、証券会社や信託銀行などが投資家(個人)と契約し、資金の運用から管理・売買・投資のアドバイスまで全てを一括で行ってくれるものです。
ラップ口座のメリット
資産運用を任せることが可能
ラップ口座の大きなメリットは、投資家に最適な運用方法を選択してくれるだけでなく、売買まで全て代理で行ってくれることです。忙しくてあまり時間を確保できない方や知識や経験があまりない方でも、資産運用を始めやすいといえます。
分散投資が可能
投資を行う際は分散投資を行うことで、いざというときの損失リスクを抑制できます。
1つの銘柄に集中投資する場合には、相場が上昇すれば大きな恩恵を受けることができますが、下落した場合には、価格変動のリスクを一点に集中して受けることになるため、大幅な損失を被ってしまう可能性があります。
一方、ラップ口座では日本株式・外国株式・日本債券・外国債券・REIT・コモディティ・ヘッジファンド・MRFなどの運用を組み合わせることによって、ある程度分散投資を行ってくれる可能性がある点がメリットと言えるでしょう。
【分散投資について詳しく知りたい方はこちら】
ラップ口座のデメリット
ラップ口座は手軽さがメリットですが、デメリットもいくつかあります。ここからはラップ口座のデメリットを解説します。
最低投資金額が比較的高い
ラップ口座を活用して資産運用を行う場合、最低でも数百万円が必要であることが少なくありません。昨今話題のロボアドバイザーであれば、最低投資金額が10万円のものもあることを考えると、最低投資金額が比較的高いと言えます。
せっかくラップ口座が投資の経験がなく知識のない初心者でも行うことができる運用方法だったとしても、最低投資金額が高いことによって敷居も高くなってしまうため、手軽に始めることができなくなるというのはデメリットと言えるでしょう。
【ロボアドバイザーについて詳しく知りたい方はこちら】
手数料が比較的高い
ネット証券などを利用して自分自身で株式投資を行う場合のコストは、比較的低い傾向があります。
しかし、ラップ口座の場合のコストは、基本報酬のみの固定報酬型や基本報酬に成功報酬を併用した成功報酬併用型の2種類から選択する運用報酬以外にも、ファンドの信託報酬や売買手数料、各種諸費用など1年あたり3%程度のコストが発生することが少なくありません。
中には運用成績に関係なく運用を行っているだけで発生するコストもあるため、運用が不調な場合はさらにコストがかかり、運用が好調な場合でも、手数料が差し引かれることで、利益を少なくしてしまいます。
運用成績が良いとは限らない
ラップ口座は、証券会社や信託銀行などの専門家が代理で運用を行ってくれます。初心者が運用を行う場合とは異なるため、一定の信頼をおけるかもしれまえんが、元本が保証されているわけではありません。
代理で運用を行ってくれる専門家の技量による影響を受けやすく、運用成績が必ず良いとは限らないため、過度に期待しすぎないようにしましょう。
手数料が高い金融商品を選ばれる可能性も
証券会社は金融商品を提供する際の各手数料などで売上を得ていることも多いでしょう。
金融商品や銘柄によって手数料は異なるため、今後利益を得られるかわからない金融商品でも、手数料が高ければ自分たちの売上に繋がることで、その金融商品に投資をするモチベーションがないとは限りません。
ラップ口座は投資を一任するサービスのですが、その結果として不適切な運用となってしまうリスクがないとは言えません。
ラップ口座を提供している金融機関・証券会社
昨今、さまざまな大手の銀行や証券会社がラップ口座を提供しています(2018年5月時点)。
ラップ口座を提供している金融機関の例は以下の通りです。(マネーの手帳調べ、2018年5月時点)
ファンドラップの名称 | ファンドラップ提供機関 |
---|---|
SMBCファンドラップ | 三井住友銀行 |
りそなファンドラップ | りそな銀行 |
MUFGファンドラップ | 三菱UFJ銀行 |
ダイワファンドラップ | 大和証券 |
野村ファンドラップ | 野村証券 |
みずほファンドラップ | みずほ証券 |
日興ファンドラップ | SMBC日興証券 |
今回はメガバンク3行が提供している、みずほファンドラップ・SMBCファンドラップ・MUFGファンドラップの3つについてご紹介します。
みずほファンドラップ
みずほファンドラップとは、みずほ証券が提供するファンドラップで、投資家はみずほ証券と投資一任契約を締結する必要があります。
最低運用金額は500万円で、契約期間は1年(1年ごとの自動更新)となっています。報酬(手数料)は、ファーストステップと呼ばれるプランの場合は固定報酬型で、上限年間1.620%のみが発生します。※1
マイ・ゴールと呼ばれるプランの場合は固定報酬型と成功報酬型より選択します。固定報酬型の場合は、上限年間1.620%のみが発生しますが、成功報酬併用型の場合は、上限年間1.296%の基本報酬に加え、運用益の10.8%の成功報酬が発生します。
みずほファンドラップの特徴は、リスクに合わせたリターンを目指すファーストステップと中長期に安定した成果を目指すマイ・ゴールの2種類の運用方法があるという点です。
ファーストステップは、リスク許容度に沿った5つの運用コースから選んで運用しますが、マイ・ゴールは、目標リスク水準に応じた5つの運用コースに加え、運用コースにそれぞれ6種類の運用タイプを設定しています。
また、ファーストステップの投資対象商品は8本の投資信託から抽出するのに対し、マイ・ゴールの投資対象商品は19本の投資信託から抽出するなどの違いがあります。
SMBCファンドラップ
SMBCファンドラップとは、三井住友銀行が提供するファンドラップで、三井住友銀行は実際に運用を行わず、実際に運用を行うSMBC日興証券を代理して投資一任契約を締結します。
最低運用金額は300万円で、契約期間は1年(1年ごとの自動更新)となっています。報酬(手数料)は、固定報酬型と成功報酬併用型より選択します。※2
固定報酬型の場合は、上限年間1.512%の基本報酬のみが発生しますが、成功報酬併用型の場合は、上限年間1.188%の基本報酬に加え、運用益の10.8%の成功報酬が発生します。
SMBCファンドラップでは、数多くのファンドの中からSMBCファンドラップ用のために15本のファンドを厳選しています。長期契約者に対しては基本報酬に割引を適用するなど、コストを抑えることができます。
MUFGファンドラップ
MUFGファンドラップとは、三菱UFJ銀行が提供するファンドラップで、三菱UFJ銀行は実際に運用を行わず、実際に運用を行う三菱UFJ信託銀行を代理して投資一任契約を締結します。
最低運用金額は500万円で、契約期間は1年(1年ごとの自動更新)となっています。報酬(手数料)は、固定報酬型と成功報酬型より選択します。※3
固定報酬型の場合は、投資顧問料に残高手数料を加えた上限年間1.512%のみが発生しますが、成功報酬型の場合は、投資顧問料に残高手数料を加えた上限年間1.296%に加え、運用益の10.8%の成功報酬が発生します。
MUFGラップファンドでは、ニーズに合わせて2種類の運用プランが準備されています。投資環境に応じて資産配分を決定する安定収益追求コースは1スタイルのみ、さまざまな資産へ投資を行い、分散投資を実現するリスク分散コースは10スタイルから選択できます。す。
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ラップ口座を活用した資産運用の始め方
ラップ口座を活用した資産運用を始めるには、最初にサービスを提供している証券会社や信託銀行に相談する必要があります。
その後、提案について問題がないか確認します。ラップ口座は投資一任であるため、運用を任せる形になりますが、定期的に行われる運用報告をきちんと見て、適切な運用が行われているかを確認する必要があります。
各サービスの担当に相談してみる
ファンドラップを選択する方法として、既に口座を開設している金融機関が提供しているもの、コストが最も低いもの、投資対象の多いものなど様々な方法が挙げられます。
興味を持ったファンドラップを見つけた後は、提供している機関の担当者に相談してみるところから始まります。相談する際に、担当者から様々な運用に関する簡単な質問が行われ、質問の回答に合わせて運用方法が提案されます。
提案について様々な項目を確認
運用方法が提案された後は、その内容をきちんと確認します。運用方法は途中で見直すことができますが、担当者が運用を行う場合の指針となるため、しっかりと確認する必要があります。
ファンドラップは、投資一任型であるため、資産運用の際の手間があまりかからないことが大きな魅力と言えますが、手数料の仕組みが複雑であるなど疑問が生じやすくなります。手数料のほかにも、疑問がある場合には漏れなく担当者に聞くようにしましょう。
契約後、運用はお任せ
提案された運用方法に問題が無い場合には、いよいよ投資一任契約を締結して運用を開始します。ラップ口座では、最初に決定した運用方法に基づいて売買も含めた運用を担当者が代理で行ってくれます。
定期的な運用報告を見る
完全に任せきりにするのではなく、およそ3ヶ月に1回の頻度で作成される四半期運用報告書は、運用状況の報告、市場動向についての担当者からのコメントや今後の運用方針などが記載されているため、きちんと確認しましょう。
運用実績と方針を照らし合わせて見直す
開始時に理想としていた運用結果が達成できていない場合には、運用方針を見直す必要があります。運用実績と方針を照らし合わせながら、随時最適な運用方法を選択できるように心がけましょう。
ラップ口座に関するよくある質問
確定申告は必要ですか
確定申告は利益が20万円以上となった場合は、必要となります。
ただし、特定口座の源泉徴収ありを選ぶことで、証券会社が口座から源泉徴収分を差し引いてくれるため、自ら確定申告を行う必要が無くなります。
ラップ口座はいくらから投資できますか
デメリットでも触れた通り、ラップ口座の最低投資金額は比較的高いと言えます。
本記事にて比較した3つのラップ口座の中では、300万円が最低投資額です。
低コストでラップ口座のサービスを期待したいという方には、ロボアドバイザーも一考の価値があるでしょう。
まとめ
ラップ口座は、自身で資産運用を行う時間が確保できない人や投資初心者でどう運用すればいいか分からない人でも、担当者が代理で最適な運用方法を選択してくれるだけでなく売買まで行ってくれるサービスです。
しかし、最低投資金額やコストが比較的高いなど、資産運用を初めて行う人にとっては敷居が高い運用方法でもあります。ラップ口座を活用する場合は、メリットとデメリットを確認してから運用を行うようにしましょう。