コモディティ投資とは、金や農産物などの実物資産に対して投資を行なうことです。
投資には、株式や投資信託、不動産などさまざまな投資対象がありますが、コモディティ投資にはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
今回はコモディティ投資の基本的な知識やメリット・デメリット、種類、具体的な購入方法について解説します。
目次
コモディティ投資とは
コモディティとは商品を意味しており、原油や金、小麦などの実物資産に対して投資を行なうことをコモディティ投資と呼びます。
コモディティは、世界中にある商品取引所で取引が行なわれていますが、個人がコモディティ投資を行なうには、コモディティ市場の参加資格を保有している企業で口座を開設し、先物商品の商品ファンドに投資を行なう必要があるなど、参加方法が限られていました。
しかし最近では、コモディティを対象とした投資信託が登場したことによって、個人でも少額からコモディティ投資ができるようになりました。
コモディティ投資のメリット
コモディティ投資のメリットは、インフレに強いことや分散投資になることなどが挙げられます。
インフレに強い
インフレによって物価が上昇すると、コモディティ投資の投資対象である実物資産の価格も一緒に上昇する傾向にあるため、コモディティ投資はインフレに強い投資方法といえます。
分散投資になる
コモディティ投資の投資対象の1つである金の価格は、株価と反対の動きをしやすいため、安全資産として注目されています。
世界情勢が不安定になり株価が全体的に下がる局面では、安全資産である金に投資資金が流入して、金の価格が上昇しやすい傾向にあります。
金に限らず、コモディティを株式や投資信託などと組み合わせることは価格変動のリスクを抑えることができるため、コモディティ投資を行なうことは分散投資にもなるのです。
コモディティ投資のデメリット
コモディティ投資のデメリットは、手数料が比較的高いことや配当金がないことなどが挙げられます。
手数料が比較的高い
例えばコモディティの1つである金を購入するには、貴金属店で金貨を購入するという方法だけでなく、金地金(インゴット)を貴金属メーカーや地金商から購入する方法などが挙げられます。
金貨の小売価格には製造費や輸送費などの諸費用が含まれています。また金地金の売買が500g未満の場合は、バーチャージと呼ばれる手数料がかかり、さらに預かってもらう場合には保管料が別途発生するなど、様々なコストがかかっていることが多いです。
また実際に実物の金を所有するのではなく、金を対象にしている投資信託やETFを購入する場合は、購入手数料と信託報酬(保有している間にかかる手数料)が発生します。
ETFは、信託報酬を少なく抑えることができますが、コモディティへの投資方法によっては、株式投資と比較すると手数料が比較的高い資産運用と言えるでしょう。
配当金がない
株式投資などの場合は、売買を繰り返していくことで得られる可能性があるキャピタルゲイン(売却益など)と株を保有し続けていることで発生するインカムゲイン(配当など)の2つを得ることができます。
しかし、コモディティ投資の場合、投資する対象が金属やエネルギー、穀物などの実物資産であるため、保有し続けていても利益は生まれず、配当金は発生しません。
そのため、他の資産運用と比較すると運用益の少ない運用方法になる可能性あるといえます。
コモディティ投資のリスク
コモディティ投資のリスクには、価格変動リスクと為替リスクなどが挙げられます。
価格変動リスク
コモディティ投資の投資対象である実物資産は、政治や経済、社会情勢、需要と供給のバランスなどの様々な要因によって価格変動が生じます。
そのため、投資を始めたタイミングによっては、価格変動によって損失を抱えてしまうなど、元本割れを起こしてしまうというリスクがあります。
為替リスク
コモディティ投資の投資対象である実物資産の価格は、外貨建てで決定されるため、為替による影響を受けます。
例えば、コモディティの1つである金の価格は、日本においては米ドル建てで提示された価格を円換算しているため、為替変動による影響を受けていると言えます。
また、商品ファンドや投資信託なども、外貨建ての場合には為替変動の影響を受けるため、価格変動リスクだけでなく、為替変動リスクにも注意しておく必要があるでしょう。
コモディティの主な種類
コモディティには主に以下の種類があります。
- 牛や豚などの畜産物関連
- 原油などのエネルギー関連
- 小麦やトウモロコシなどの農産物関連
- 金などの貴金属関連
畜産
畜産物関連には、飼育牛や生牛、赤身豚肉などが挙げられます。畜産物関連は、需要と供給のバランスによって価格変動が生じます。
実物資産の中でも、生活必需品の分類に含まれることから、安定した需要が期待されますが、牛や豚などを飼育するための飼料価格の変動や疫病などの影響を受ける可能性があります。
エネルギー
エネルギー関連には、原油、ガソリン、ヒーティングオイル、ディーゼル、天然ガスなどが挙げられます。エネルギー関連は、需要と供給のバランスよりも、中東情勢や国際情勢などによって価格変動が生じる可能性が比較的高いといえます。
その他にも、産油国の生産動向や原産の合意、米国のシェールオイルやシェールガスの生産状況の影響も受ける可能性があります。
農産物
農産物関連には、小麦、トウモロコシ、大豆、小豆、米、コーヒー、砂糖、ゴムなどが挙げられます。農産物関連は、畜産物関連と同様に、需要と供給のバランスによって価格変動が生じます。
生産地における異常気象や自然災害、収穫時期など季節的な要因などによる影響を受ける可能性があります。
金属
金属関連には、金やプラチナなどの貴金属と亜鉛やアルミニウムなどの産業用金属が挙げられます。金属関連は、鉱山の生産動向や政府の輸出政策などによって価格変動が生じます。
貴金属は安全資産であることから、株式市場が不安定になった場合などの資金の移動先として選ばれることが多く、需要と供給に関係なく価格変動が生じる場合があります。
コモディティを対象とした金融商品
コモディティを対象とした金融商品は投資金額が比較的高く、これまで投資できる人が限られていましたが、投資信託やETF、純金への直接投資やプラチナ積立などが登場してきたことで、コモディティ投資が始めやすくなりました。
投資信託・ETF
コモディティが対象の投資信託を購入することで、コモディティに間接的に投資をすることが可能です。
また、コモディティのインデックス(指数)と連動するように運用を行なっている投資信託も存在しています。
同じ投資信託でも、証券取引所に上場しているETFを購入することでもコモディティ投資が可能です。
ETFの場合は、株式市場でリアルタイムに取引ができるなどのメリットがあります。
純金・プラチナ積立
貴金属の取り扱いを行なっている店舗にて金貨や金の延べ棒などを直接購入できます。また、金投資を取り扱っているネット証券でも毎月定期的に購入する積立投資を行なうこともできます。
直接売買の場合、売買手数料や年会費、保管料などの諸費用のほか、取り扱い店舗が破綻した場合には、投資している金などの現物が返ってこない可能性もあるので、手数料や管理体制がどのようになっているのか、事前に確認しておくようにしましょう。
コモディティ投資の始め方
コモディティ投資を始めようと考え、投資信託やETF、純金を購入する場合は、証券会社で口座開設をする必要があります。
店舗型の証券とネット証券の主に2つが検討対象になりますが、ネット証券は店舗の維持費や人件費があまりかからないことから、売買手数料なども比較的低い傾向にあります。
そのため、コモディティ投資を始めたい場合は、各ネット証券を比較して、口座開設を検討したほうがよいでしょう。
まとめ
コモディティ投資は純金への直接投資やプラチナ積立のほか、投資信託、ETF(上場投資信託)などの購入も行なえるようになっており、個人でも参加できるようになりました。
コモディティは購入手数料や管理手数料などが高くなりやすい傾向にあるため、メリットとデメリットをしっかりと把握してから投資を検討しましょう。