ロボアドバイザーは自動で投資判断のアドバイスや資産運用を行ってくれるサービスとして、近年話題となっています。
以前から自分自身で資産運用をしている方にとっては自動で資産運用を行ってくれるとあって、ロボアドバイザーに注目している方も多いでしょう。
ロボアドバイザーにもさまざまな特徴がありますが、その中でもNISA(少額投資非課税制度)を活用できるかどうかは気になる方もいるでしょう。
今回は、NISAを活用してロボットアドバイザーの資産運用ができるのかを解説します。
目次
ロボアドバイザーの種類によってNISAが使えるかが決まる
ロボアドバイザーで、NISA制度が活用できるかは、ロボアドバイザーの種類によって異なります。
ロボアドバイザーは、大きく分けて「投資一任型」と「アドバイス型」の2種類があります。
この2種類のうち、投資一任型ロボットアドバイザーでNISAを活用した運用はできませんが、アドバイス型のロボアドバイザーは、買付口座をNISA口座に設定することができます。(2018年3月時点)
ロボアドバイザーの種類
投資一任型とアドバイス型にはそれぞれどのような違いがあるのでしょうか。以下で2種類のロボアドバイザーについて詳しく解説します。
投資一任型ロボアドバイザー
投資一任型ロボアドバイザーは、運用前の組み入れ資産(ポートフォリオ)の提案から、その後の運用、リバランスをロボットが全て自動で行ってくれるサービスです。
顧客のリスク許容度に合わせてポートフォリオを構築し、運用からリバランスまで全て行ってくれるため、自分自身で指定した銘柄を購入、必要に応じてリバランスを行うといった手間を省くことができます。
投資一任型ロボアドバイザーサービスで運用を始めるには、各サービスが用意しているいくつかの質問項目に回答する必要があります。
年齡や年収、金融資産額、運用目的などの質問に回答することで、ロボットが顧客のリスク許容度を判断し、そのリスク許容度に応じたポートフォリオを提案してくれます。
その後は、入金次第、提案したポートフォリオの内容に従って、自動で買付が行われ運用が開始されます。
【投資一任型ロボアドバイザーについて詳しく知りたい方はこちら】
アドバイス型ロボアドバイザー
アドバイス型ロボアドバイザーは、投資一任型ロボアドバイザーと同様に、いくつかの質問項目に回答することで、顧客1人1人に合ったポートフォリオを提案してくれます。
投資一任型ロボアドバイザーと大きく違うところは、自動的に運用まで行ってくれるかという点です。
アドバイス型のロボアドバイザーは、あくまでもポートフォリオのアドバイスまでを行うサービスのため、アドバイスしてくれた金融商品を購入する場合は、自分自身で行う必要があります。
そのため、投資を始めたいが、どのような金融商品を購入したら良いのかわからないといった疑問を解決するためのサービスであるともいえます。
NISAの特徴を再確認
ロボアドバイザーでNISAを活用したいと考えている場合、アドバイス型ロボアドバイザーで提案された金融商品を自分自身で購入する必要があります。
NISAには通常NISA、つみたてNISA、ジュニアNISAの3種類があります。ここで改めてそれぞれのNISAの特徴を再度確認しましょう。
通常NISA | つみたてNISA | ジュニアNISA | |
---|---|---|---|
非課税投資枠(年間) | 120万円 | 40万円 | 80万円 |
最長非課税期間 | 5年間 | 20年間 | 5年間 |
投資対象商品 | 国内外の個別株、投資信託 、ETF、 ETN 、REIT、 株予約権付社債 | 投資信託、 ETF (金融機関の条件を満たした商品のみ購入可能) | 国内外の個別株、投資信託 、ETF、 ETN 、REIT、 株予約権付社債 |
払い戻し制限 | なし | なし | 原則18歳まで不可 |
ロールオーバー | ◯ | × | ◯ |
金融機関変更 | ◯ | ◯ | × |
※1を参考(2018年3月時点)
通常NISA
通常NISAは、2014年1月より開始したNISA制度で、株式や投資信託、ETF(上場投資信託)、ETN(上場投資証券)、REIT(不動産投資信託)、新株予約権付社債といった幅広い金融商品に投資が可能です。
非課税枠は年間120万円に設定されています。この年間120万円の投資枠で得た値上がり益と配当金・分配金が最長5年間非課税となります。
120万円で最大5年間運用した場合は、600万円までの運用で得た収益が非課税となります。また、5年間の運用終了後は、翌年からの非課税枠にロールオーバーすることができます。
【NISA口座を開設するなら各金融機関を比較しておきましょう】
つみたてNISA
つみたてNISAは、投資信託もしくはETFの積み立て運用に特化した税優遇制度です。
非課税枠は年間40万円までに設定されており、月に換算すると3.3万円以下の金額の積み立てができます。
非課税期間は最長20年のため、40万円を20年間運用した場合、800万円までの運用で得た収益が非課税となります。ただし、20年間の運用が終了した場合、ロールオーバーができず、一般口座もしくは特定口座に移行する必要があります。
また、つみたてNISAの特徴としては、金融庁があらかじめ定めた条件を満たした投資信託もしくはETFのみが購入可能である点です。
販売手数料がゼロであることや、運用管理費用である信託報酬が一定水準以下であることなどが条件となっています。
つみたてNISA対象商品として、日経平均株価などの指数に連動するよう運用されるインデックス型投資信託が126本、独自の方針で指数以上のリターンを目指すアクティブ型の投資信託が15本、ETFが3本となっています。(2018年2月2日時点)
【つみたてNISAについて詳しく知りたい方はこちら】
ジュニアNISA
ジュニアNISAは、子供の資産形成に特化した税優遇制度です。運用可能な投資商品は、通常NISAと同様ですが、年間の非課税枠が80万円と低めに設定されています。
非課税期間は最長5年間のため、80万円を5年間運用した場合、400万円までの運用で得た収益が非課税となります。5年間の運用が終了後は、通常NISAと同様にロールオーバーができます。
ジュニアNISAの対象年齡は0歳から19歳となっており、20歳になれば通常NISAもしくはつみたてNISAに移行することになります。(同一金融機関で自動的にNISA口座が開設されます。ジュニアNISAは口座変更ができません。)
また、ジュニアNISAを利用して購入した金融商品は、自然災害など、万が一の場合を除き、原則18歳まで払い戻しができないため注意が必要です。
【ジュニアNISAについて詳しく知りたい方はこちら】
投資一任型ロボアドバイザーでNISA活用ができない理由
2種類のロボアドバイザーとNISAを解説してきましたが、投資一任型ロボアドバイザーでNISAが利用出来ない理由としては以下2点があります。
- リバランスを定期的に行っている(売買頻度が高い)
- 最低投資金額が高い
これらの理由から、年間の非課税枠をすぐに使い切ってしまうことが考えられるため、NISAには非対応となっています。
投資一任型ロボアドバイザーのウェルスナビは、税金最適化機能(DeTAX)が利用でき、リバランス時に値上がり益が得られた場合、損失が発生している銘柄を同数量買い付けることで税金を繰り延べることができ、税負担を軽減できるよう工夫しています。
税負担を軽減したい場合は、アドバイス型のロボアドバイザーが提案したポートフォリオを参考に、自分自身で金融商品を購入したほうがよいでしょう。
【DeTAXが特徴のロボアドバイザー「ウェルスナビ」の詳細はこちら】
まとめ
NISA制度でロボアドバイザーを活用できるかは、ロボアドバイザーの種類によって異なります。
投資一任型のロボアドバイザーは、運用をロボットが自動で行ってくれることから、定期的なリバランスを実施します。そのため、運用状況に応じて年間の非課税枠をすぐに使い切ってしまうことが考えられることから、現在ではNISA口座での運用はできません。
アドバイス型のロボアドバイザーは、あくまでも投資者のリスク許容度に合わせてポートフォリオの提案になり、最終的に投資を判断するのは投資者自身となります。
そのため、税負担を軽減したいと考えている場合は、ロボアドバイザーの提案を参考に、ご自身でNISA口座を通じて、運用したい投資信託を購入することをおすすめします。
※1:金融庁 NISAとは